「よし!そろそろ念願のマイホームを考えよう!」と思ったあなた。
そうは思ったものの「はたして何から始めればいいのかわからない」「家造りがどのように進むのかわからない」という方も多いのではないでしょうか?
インターネット上にはマイホーム計画への道しるべが数多く掲載されていますが、木造住宅においては2021年下半期のマイホーム計画が今までとはちょっと異なるという事はあまり説明されていません。
この記事では、業界の人間だからこそわかる「2021年版 マイホーム計画から完成までのロードマップ」を教えます。
木材の価格高騰や品不足になってしまったウッドショック渦の2021年下半期以降は、今までと同じ方法で家造りをスタートしていると必ず失敗します。ぜひこの記事を参考にして「夢のマイホームを手に入れるまでの道筋」を計画してみてください。
2021年下半期以降はマイホーム計画時の「注意ポイント」があります
まずはじめに、2021年に発生している木材不足問題について説明しておきます。
2021年6月時点では日本中で住宅建築に使用する木材が不足する事態が発生しています。以前から国産木材を使用して住宅を建築している会社はその影響が限定的ですが、大多数の住宅会社にはかなりの影響が出ています。
木材不足からくる工期の延長や、そもそも着工できないという事態に陥っています。また木材の価格も高騰し、坪単価が以前に比べ数万円高くなっている住宅会社もあります。この影響はすぐには沈静化せず、少なくとも今年いっぱいは続くというのが業界の大筋の見方です。
どうしても入居までの工期に余裕がない方は、ウッドショックの影響がない住宅会社を選ぶか、すでに完成している建売住宅の購入の検討も候補に入れることをオススメします。
逆に工期に余裕がある方は、じっくりとマイホーム計画をすすめることを強くオススメします。このウッドショック時に無理して家造りを進めてしまうと、思わぬ工期の延長や通常では使用しない木材での家造りになってしまうかもしれません。
時間に余裕のある方は、焦らず計画段階の「ステップ6」までをじっくり行うことを強くオススメします。
では、「2021年版 マイホーム完成までのロードマップ」を順を追ってご説明しましょう。
2021年版 マイホーム計画~完成までのロードマップ
ただやみくもに家を建てたいと思うだけでは遠回りです。一番初めに「自分がこんな家に住みたい!」と思うイメージを固めることが大切です。
家を建てるためには土地がなくては始まりません。あなたのイメージにあう土地を探しましょう。土地探しは不動産業者から購入するパターンと住宅会社に探してもらい購入する2パターンがあります。
ある程度、土地が決まったらあなたのイメージする建物の間取りと見積もりを取り寄せましょう。この段階の見積書は住宅会社の標準仕様で構いません。
なぜなら、部材の相場観の把握と住宅会社によって異なる得意な部材の価格を把握するためです。
住宅会社の大まかな見積書が出てきたら、住宅に使用する部材(フローリングやキッチンなどのパーツ)の相場観がざっくりとわかるはずです。その標準仕様を基準にして各メーカーのショールームに行き、どんな商品があるのか探しましょう。
何か気に入った部材があったのなら、その部材を指定した見積もりを依頼しましょう。間取りと仕様書を複数取り寄せ、自分の要望にあう住宅会社を徐々に絞っていきましょう。
これだ!と決めた住宅会社に資金計画を依頼しましょう。住宅ローンの借入限度額なども把握し、部材ごとの仕様も変えながら無理のない資金計画を練ります。資金計画では住み始めてからのランニングコストも検討事項に入れることを忘れずに行いましょう。安易な計画ではマイホームブルーに陥ってしまうかもしれませんよ。
ここまでがマイホームの計画段階です
これだ!と決めた住宅会社と建物建築契約を行います。この契約時にチェックしておきたいポイントがあります。
木材不足・高騰の問題が起きている2021年。
住宅会社によっては「同意書」という書類へのサインを求められる場合があります。
サインしなくても構いませんが、なぜ同意書という書類が必要なのか?またどういった影響があるのかをしっかり考えてからサインしてください。
契約が完了したらいよいよ「仕様決め」です
なにわともあれ間取りと家の形を一番先に確定してください。間取りが決まらなければ住宅に使用する部材が定まらない場合もありますし、キッチンなどの大型部材ではそもそも入らないなんてことになりかねません。
また敷地に対する家の配置位置も確定する必要があります。
2021年のウッドショック下では、より早く間取りを確定することが大切です。なぜなら住宅会社は間取りが確定しなければ住宅に使用する木材を手配できないからです。少しでも早く木材を発注してもらい、工期が長引かない努力をすることが重要です。
住宅会社に依頼して、家を建てる位置の目印である「地縄」を張ってもらいましょう。周辺の環境から影響を受ける日当たりや駐車場や庭の広さを確認します。可能であれば駐車場となるところに実際に車を入れてみて出し入れに問題がないか確認することも大切です。
イレギュラーな場合もあるかもしれませんが、ほとんどの場合が土地を契約しなければ地盤調査ができないでしょう。また間取りと敷地に対する配置が確定しないと地盤調査はできません。契約後に間取りが確定したら速やかに地盤調査をやってもらいましょう。
もし、軟弱地盤だったら数十万円から百万円以上の思わぬ出費が出てしまうかもしれません。
間取りが確定したのなら建築確認申請書を作成してもらい(住宅会社が行います)、公的審査機関に提出します。一般的な建築確認申請書だけでなく、建てる場所によって特別な申請が必要な場合があります。前面道路に水路などがあり水路上に橋を作る場合は「河川占用申請」が必要であり、文化財が埋蔵されているような土地では埋蔵文化財に関わる土木工事の手続きが必要な場合などがあります。
これらの申請書作成から申請受理までは数日から数ヶ月かかる場合がありますので、なるべく早い段階で申請の準備をしてもらうことが家造りをスムーズに行う重要なポイントです。
建築確認申請書には、ドアや床の色などの部材の仕様は関係ありません。よって色決めは申請期間と同時進行で進めれば問題ありません。
※良好な景観を推進するための景観条例があるところもあります。その場合は外壁の色合い等も問われます。
2021年4月から「住宅の省エネ性能説明義務化」がスタートしました。
あなたの家の省エネ性能が基準に満たしているかを建築士が説明します。基準をクリアしていなくても建築は可能ですが、住宅のライフサイクルコストや将来の事を考えれば基準を満たす住宅でありたいものです。
少なくともZEH基準はクリアする住宅性能とすることをオススメします。
玄関ドアや外壁の色、壁紙などのデザイン、キッチンや浴室の仕様などを住宅会社の打ち合わせ担当者と十分に行います。カタログだけ見ていても自分の家に当てはめたらどんな感じになるのかは分かりづらいものです。どこの住宅会社でもあなたの家の完成予想パース図を簡単に作成してくれますから、見てみたいイメージをどんどん依頼して自分だけの仕様を決めていきましょう。
ここまでが「設計仕様決め段階」です
地鎮祭を実施するかどうかはお施主様の自由です。費用のかかる地鎮祭ですが、最近ではこの行事を行わないパターンも増えてきています。地鎮祭は着工日の少し前(1~2週間前)に行うのが一般的です。
さぁ、いよいよマイホームの工事開始です!
先程説明した地盤調査の結果で地盤改良工事を行うかどうかが決まります。問題のない地盤であればすぐに基礎工事が始まります。
文字通り、家の基礎となる一番下の基礎コンクリートを施工します。一般的な大きさの基礎工事の期間は「おおよそ2週間~3週間」です。
住宅会社によって敷地内の給排水配管工事(地面の中に埋まる給排水の配管を行うこと9をどのタイミングで行うかは異なります。一般的には基礎工事後に敷地内の給排水配管工事を行う事が多いです。工事期間は「数日」です。
上棟とは、家の一番上にある棟木を設置する(つまり家の骨組みを組み立てること)ことを言います。お施主様によってまた地域によって「上棟式」を行うかどうかは異なります。この上棟式も最近では行うことが減ってきています。
木工事とは大工さんが施工する工事のことです。この大工さんが工事している期間中に他の工事も同時進行で進みます。
- 電気配線工事
- 内部給排水配管工事
- 白蟻工事
- 防水工事
- 屋根工事
- 外壁工事
- 設備工事
- 空調工事 など
大工さんの工事が完了したら、壁紙を張ったりタイルを張ったりする「仕上げ工事」に入ります。また壁紙などの工事が完了したら、トイレや照明器具などの設備機器も設置します。
仕上げ工事に入る前に、住宅会社のスタッフ立ち会いのもとに下地の施工状況をチェックすることをオススメします。なぜならどんなにいい仕上げ材でも下地がダメなら綺麗に出来上がらないからです。
問題があったとしても、この段階なら是正工事も大掛かりにならないで済みます。気になったところがあれば積極的に聞いてみましょう。
仕上げ工事が完了したら、給排水配管を接続したり、電気を引き込んだりしてライフラインを接続します。この段階まで来ると家としての機能が一通り揃ったことになります。
工事期間の最終段階として家全体をクリーニングします。ガラスなども綺麗に磨き上げます。
ここまでで建物の「工事期間」は完了です。
すべての工事が完了したら審査機関による完了検査が行われます。図面通りに出来上がったかどうかの検査です。また住宅会社自ら行う「自主検査」もこの段階であり、傷や不良箇所などをチェックします。
また同時進行で、建物が誰のものかはっきりさせる不動産登記も行います。
住宅会社が自ら行う自主検査だけではなく、必ずお施主様自ら立ち会う「施主検査」も実施しましょう。後からもめないためにも気になった部分は必ず住宅会社に伝えなければいけません。
木造住宅は現場で手作りで行う工事で出来上がります。工場で一括生産される工業品とは異なりますから、多少の問題や傷があるかもしれません。大きな失敗は問題外ですが、小さな問題であるならばとやかく文句言うのではなく、「いつまでに直すのか?」「どうやって直すのか?」「後々問題にならない直し方ではないのか?」をしっかり確認し、確実に施工してもらうほうが大切です。
やっとです。やっと念願のマイホームが自分のものになる「引き渡し」です。この引き渡しが終われば当然ですが「あなたの物」になりますから何をしようとあなたの自由です。
すきな家具を入れたり、観葉植物で飾ったり、あるいはお世話になった方を招いて「完成記念パーティー」を行うのも素敵ですね。
まとめ
あなたが家をつくろう!と思い立った時から引き渡しを受けるまでの期間は、早くて半年(かなりトントン拍子で進めた場合)から1年程度かかります。
この記事のロードマップも長文に渡ってご説明しましたが、実際の家造りはこんなものではありません。実際に私が携わらせていただくお客様の中にも仕様決めの段階まで来ると疲れが見えてくる方がいらっしゃいます。
ましてや2021年下半期以降のマイホーム計画はウッドショックの影響でさらに長丁場になることが予想されます。
逆を言えば「じっくりマイホーム計画を立てられる」とも言えます。一生に一度のマイホーム計画です。2021年下半期以降は「あせらず、じっくりマイホーム計画」が家造りのキーワードです。
住宅会社ごとにウッドショックの影響を確認するためにも、複数の会社から資料や間取りを依頼するのが得策ですよ。
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