地縄(じなわ)とは、土地に対してその家がどの位置に立ちますよ、というのを地面に縄(ひも)を張って位置出しをするものを言います。
あなたが家を建築する際には必ず住宅会社に地縄を依頼して(ほとんどの場合、依頼しなくても地縄を張ると思いますが)、境界との離れはどのくらいだろうか? 駐車場はどのくらいの広さだろうか? というのを確認してください。家造りをするお施主様の重要なお仕事です。
しかし、ほとんどの人はその「地縄」を見た状態では、これから建築する自分の家を「狭い」と感じるはずです。でも大丈夫です。あなたの家はこの段階で感じる「狭さ」ではありません。
今回はその地縄マジックとお施主様の重要なお仕事について解説します。
人間の空間認識能力の限界から感じる狭さ
地縄とは地面にただひもで一筆書きのように書いてあるだけです。つまり高さ方向の要素は全くありません。
人間はそこに高さ方向の要素が加わって初めて立体を認識します。きっとあなたも地縄だけをみて自分の家の形なんてイメージできないはずです。
つまり、この段階では「大きさ」をイメージできていないのです。だから狭く感じるのです。
錯覚から感じる狭さ
満車な駐車場に停めた自分の車は特になにも思わなくても、ガラガラな駐車場に1台だけ停めた自分の車って小さく感じませんか?
人は対比するものがあれば、そのモノの大きさを自然と比較します。
まだ何もない土地にひもが張ってあるだけでは、比較するものが無いため狭く感じます。
そんなときは自分の車を駐車場になる予定のところに停めてみてください。きっと「あぁ! こんな感じね」って思うはずです。そこに対比する車があるからこそ、おおよその大きさを自然と認識できるのです。
基礎工事、上棟と工事が進むにつれて大きく感じる
まず基礎工事の段階で約40cmの「高さ」が発生します。この状態で高さ方向の要素ができて、低いながらもきっと地縄で感じた「狭さ」ではないはずです。
あれ? こんなくらい広いのね?
って思うはずです。
次に、あなたの家が上棟したときには約6m以上の「高さ」の要素が発生しますから、きっとこう思うはずです。
うわ!でかいな!
ってね。
よって地縄で感じる「狭さ」は気にしなくても大丈夫です。逆を言うと、地縄の段階で「広い」と感じるのであれば、それは相当広い家になります。
地縄で確認するべき項目
そんなこんなで狭く感じる地縄でも、必ず確認すべき項目があります。
- 境界との離れ
- お隣さんとの位置関係
- 駐車場の大きさ
- 庭の広さ
- 方位
最低限これだけは確認しましょう。
境界までの離れ寸法も、図面上で書いてある寸法よりも狭く感じるはずです。同時にお隣さんとの位置関係も確認してみてください。お隣さんの玄関付近にプライバシーが気になる部屋(浴室とか)が無いか? リビングの掃き出し前になるべくなら見えたくないもの(ゴミ置き場とか)が無いか? リビングに大きな窓をつけたけど、お隣さんの家にある植物で影にならないか? などは、その場に立ってみないとわからない事も多いです。
また駐車場の広さも自分の車を実際に入れてみて確認してください。車の出入りに障害物(電柱とか)が無いか? 出し入れしずらくないか? などですね。
また、方位の確認も重要です。おそらくあなたの家の図面上にも方位は記入してあるはずです。しかし「え?どこに書いてあるの?」って思っていませんか? そうです。きっと図面上に記載してある方位なんて見ていません。思いがけず真南方向が斜め45度方向だった! なんてことがあると、想定外の西日が差し込むリビングになりかねません。
まだこの地縄の段階では修正が効きます。しかし基礎工事が始まってしまえば、たとえ1cmでも、もう移動はできません。
地面の高さの確認も忘れずにしましょう。建築には設計GL(グランドライン)というものがあります。地面のどこの高さを基準に建築を進めるか計画してあります。敷地内に高低差や傾斜がある場合はもっと重要です。工事が始まってから、え?この段差どうするの? では手遅れです。
最後に
この地縄を確認した後に地鎮祭を行う方も多いのではないでしょうか?
いよいよ、あなたの家造りの始まりです。
何事も初めが肝心。地縄をしっかり確認して、素敵なあなたのマイホームが完成することを切に祈ります。
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