ユニット鉄筋とはこういうものです。住宅基礎へのメリット・デメリットを解説

基礎工事のユニット鉄筋とは
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住宅の基礎は鉄筋コンクリート造です。決められた太さと間隔で設置された鉄筋をコンクリートで固めた構造ですね。

この基礎に使用する鉄筋ですが、最近の住宅ではユニット鉄筋と呼ばれるものが多く採用されています。このユニット鉄筋でない場合は、現場で基礎の職人さんが鉄筋を折り曲げ、結束線で一本一本縛って組み上げてます。

家一軒で使用する鉄筋は、それでも結構な量になりますから、現場カットし折り曲げる(基礎屋さんの作業場で折り曲げる場合もあり)作業も膨大なものであり、また職人さんごとによって精度の違いも出ることは当然なことでした。

この鉄筋を現場ごとの精度の狂いがないように、工場で予め組み上げた鉄筋をユニット鉄筋と呼びます。

一般の方は現場に配送されてくる鉄筋がどのような形で来るのか、あまり見る機会は少ないかと思いますので、この記事では「ユニット鉄筋とはこういうものです」と題し、現場に到着したユニット鉄筋をご紹介します。

目次

ユニット鉄筋とはこんな状態で現場に配送されます

溶接加工された内部立ち上がり用鉄筋ユニット
外部立ち上がり用ユニット鉄筋
外部立ち上がり用ユニット鉄筋

基礎の鉄筋の太さや配置される間隔は、住宅会社によって微妙に異なります。特に外部の立ち上がり用の鉄筋形状は様々です。この写真の外部立ち上がり用のユニットは「レの字」の形をしていますね。

これら立ち上がり用の鉄筋を工場で溶接加工して現場に配送してくるわけです。運搬するトラックの荷台に載せられる長さというものがありますから、途中で長さを切り分けたユニットで運搬します。

その切り分けられた1ユニットごと重ね継ぎ手用の鉄筋を添えて(結束線で縛って)現場で組み立てます。

角部分の鉄筋配置状況
隅部でユニットごとに立てた状態

上記の写真は、外部の立ち上がり部の角部分の写真です。それぞれの方向からのユニットを角部分でつなぎ合わせます。左側の地面に置いてある「への字」の鉄筋が重ね継ぎ手用の鉄筋です。

ユニット鉄筋の主筋とタテ筋は溶接されていますが、この重ね継手用の鉄筋は結束線で縛ります。現場で溶接加工することはほとんどありませんので、この部分は結束線で縛ります。

鉄筋結束機の写真
結束線で縛る専用の鉄筋結束機もある

ユニット鉄筋とはどういうメリットがある?

では、このようなユニット鉄筋を採用するメリットはなんでしょうか?

  • 工場で溶接加工されるので、どの現場でも一定の品質が確保される
  • 予め鉄筋を工場で組み上げて来るので、現場での作業が減る(工期短縮)
  • 図面に基づいて工場加工されるので、現場で鉄筋が余るなどのロスが少ない

基礎に合わせたあの形に現場で一本一本鉄筋をカットして形作るよりも、写真でみても分かる通り、予め加工された形で現場に配送されれば、当然ですが組み上げる時間の短縮につながります。

私の関与する現場では、一人の職人さんで家一軒(約18坪の大きさ)の基礎の鉄筋を組み上げる時間は、約1日です。(朝から組み始めて午後の3時くらいには組み上がっている)

また組み上げる際の職人さんの腕の違いによる微妙な寸法の狂い、結束線の縛り忘れ、縛り不足なども防げるわけです。

またユニット鉄筋では、主筋(横方向にある鉄筋)とタテ筋は溶接加工されます。

この溶接ですが、昔は腕のよくない職人が溶接するとすぐに取れてしまうような溶接であったりしました。しかし最近ではJIS(日本工業規格)で認定を受けた鉄筋を(財)日本建築センターで認定された工場で溶接加工しますので、その溶接品質も間違いのないものになっています。

鉄筋拡大写真
ユニット鉄筋部は溶接加工され、重ね継ぎ手用の鉄筋は結束線で縛る

ユニット鉄筋は、日本建築センターの認定工場で生産されたユニット鉄筋を選びましょう。
ユニット鉄筋を生産している工場でも認定を受けていない場合もあります。
認定を受けた工場では、引張り試験などを行い常に品質管理された鉄筋を出荷しています。

鉄筋を一本一本発注して、必要な長さにカットして加工する場合では、ぴったりな数量を計算することは大変なことです。

しかし、工場に発注する場合では、図面に基づいて専門スタッフがユニット鉄筋の配置を計算し、必要な本数で生産しますから発注ロスも少なくなります。

ユニット鉄筋とはデメリットもあるよね?

当然ですが、デメリットもあります。

  • ユニット加工費が必要
  • 臨機応変な対応はできないことはないが、融通は効かない
  • 「納期」という時間がかかる

当たり前ですが、現場で加工する作業を工場で行うわけですから、「加工費」という金額が発生します。

しかし、現場で組み上げる時間と発注ロスを考えれば確実にコストダウンに繋がります。基礎の職人さんが現場で鉄筋を組む時間を少なくすれば、他の仕事ができますからね。

また図面で工場に発注指示してから、納品されるまでの時間も当然かかります。工場の混み具合にもよりますが、おおむね3日〜7日くらいの納期でしょうか。

ユニットで来るわけですから、途中で図面が変更になった! などの緊急事態には対応しづらい面もあります。

どうしてものときはユニットを切断加工して対応するわけですが、それではユニットにした意味がありません。発注する現場監督さんの十分な確認が必要と言うわけです。

立ち上がり部のフックは必要?

この写真を御覧ください。

フックが付いているタテ筋

右側の立ち上がり部の頂点にはなにもありませんが、左側の立ち上がり部の頂点はぐるっと曲がったフック状の形をしています。

これはなぜでしょうか?

答えは、左側の立ち上がり部は現場組み(結束線で緊結)した部分であり、右側はユニット鉄筋だからです。

一般的に上端筋と下端筋をつなぐタテ筋はフックが必要となっていますが、先程述べた日本建築センター認定の工場では、このフックを省略できる工法の工場があります。(すべてのユニット鉄筋工場が認定を受けているわけではない)

この工場で加工されたユニット鉄筋にはフックがないわけです。しかし、現場で組み上げる部分は溶接加工ではなく、結束線での緊結となりますからフックがあるタテ筋を使用して組み立てます。

どうもこの解釈にはいろいろな意見があるようですが、私的にはフックなしとするからにはそれなりの強度試験をして認定を受けていると思います(実際に工場の責任者と話したときもそう言ってました)よって「認定を受けていないものはフックが必要である」と私は解釈しています。


今回の記事はココまでです。

次回は「基礎の配筋検査とは?」です。

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