基礎工事の立ち上がりを打設する前にチェックしておきたいポイント

基礎の立ち上がり打設前
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先日の記事で、べた基礎のコンクリートのスラブ部分までのコンクリート打設は完了しました。

次は、立ち上がり部分に型枠を設置してコンクリートを打設します。

この立ち上がり部分ですが、型枠を設置した際にチェックしておきたいポイントがあります。

  • 鉄筋のかぶり厚さは確保されているか?
  • スリーブ管が必要な場所には設置されているか?(その周りの補強筋も確認)
  • 型枠は通り芯からズレて無いか?
  • アンカーボルトは適切な箇所に設置できているか?(田植え方式はやめましょう)

一般のお客様には「アンカーボルトの位置」や「スリーブ管が必要な位置」はわからないでしょう。

しかし、「かぶり厚さ」くらいは目で見てすぐに分かりますので、チェックしておきたいものです。

 
建築士
と言っても、それをチェックするのは現場監督さんの仕事ですけどね。

 

目次

立ち上がり打設前に型枠内の鉄筋のかぶり厚さをチェックする

型枠が設置されるまでは、目印になるものが有りませんでしたので、立ち上がり部分の鉄筋のかぶり厚さの確認はなかなか難しいものです。

しかし、型枠が設置されてしまえば「かぶり厚さ」は一目瞭然です。

まずは「型枠の通り芯がずれていないか?」 チェックし、通り心がずれていないようであれば鉄筋のかぶり厚さが不足していないか見てみましょう。

鉄筋のかぶり厚さとは?

鉄筋のかぶり厚さとは、鉄筋から仕上がるコンクリート表面までの距離のことをいいます。鉄筋の周りにどれくらいの厚さのコンクリートがあるか? ってことですね。

そのかぶり厚さについては建築基準法施工例第79条にかかれています。

鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあつては2cm以上、耐力壁、柱又ははりにあつては3cm以上、直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分にあつては4cm以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあつては捨コンクリートの部分を除いて6cm以上としなければならない。

建築基準法施工例 第79条より

つまり、基礎の立ち上がり部分は4cm以上、土に接する分は6cm以上必要ということです。

べた基礎の立ち上がり部分の厚さは15cmが多いかと思います。鉄筋が15cm厚の中心付近にあれば、問題なくかぶり厚さは確保できます。

しかし、どっちかに寄ってしまっているようですと、4cmというかぶり厚さは結構簡単に守れない状態になってしまいます。

かぶり厚さの写真

なぜ、かぶり厚さが必要か?

このかぶり厚さとはなんの為に必要なのでしょうか?

鉄筋とは素材自体が鋼ですから、空気中に暴露されているとどんどん錆びてきます。錆というのは酸性です。

これに対してコンクリートというのは強いアルカリ性です。

このアルカリ性のコンクリート内にあることにより、錆から鉄筋を守ってくれているんですね。

でもしっかり埋まっているように見えるコンクリートでも、微小な隙間(ヒビ)があります。この僅かな隙間から空気中の水分などが侵入し、鉄筋に悪影響を与えてしまいます。

つまり、この微小な隙間(ヒビ)から鉄筋を守るためには、ある程度の厚さが必要です、という意味でかぶり厚さの数値が決められています。

かぶり厚さが足りない場合はスペーサーをかます

コンクリート打設前であれば、かぶり厚さが不足している場合に「無理やり」対応することはできます。

しかし、あくまで「無理やり」です。

型枠と鉄筋との間にスペーサーをかまし、鉄筋をグイッと寄せるイメージですね。

しかし相手は鉄筋です。そんなに簡単に曲がってはくれません。また極端な曲げもよく有りません。

よってスペーサーをかます場合でも、悪くても1cm以内くらいが限度ではないでしょうか?これ以上悪いようであれば、他の方法を考えなければなりません(基礎幅を厚くするとか)

スリーブとは?

基礎工事におけるスリーブとは、水道やガス管などの配管類が基礎を貫通する場合に設置する、配管の通り道のことです。

当然、平面図に基づいて設計されていますから、どこをどういうルートで配管するかはすでに計画済みなはずです。

よってその通り道となる部分に、予め配管を通しておき、あとから容易に配管施工ができるようにしておくものが「スリーブ」です。

スリーブ管の画像

スリーブがない場合は、基礎完成後に基礎表面から穴を開けなければなりませんが、その場合ですと鉄筋ごと穴をくり抜いてしまうかもしれません。

よって配筋の位置がわかるこの段階で「スリーブ」を設置しておけば、鉄筋を切断してしまう心配もないということです。

といっても、この段階でスリーブを設置しようとしても、鉄筋が邪魔で設置できないことがあります。

その場合は鉄筋をカットして「スリーブ」を設置するわけですが、カットした鉄筋の周囲、スリーブ廻りには補強筋を入れることを忘れてはいけません。

アンカーボルトの田植え方式はもう古い!

アンカーボルトは基礎と土台をつなぐ大切な部材です。

このアンカーボルトが基礎に対して端っこの方にある、あるいは土台に対して端っこの位置に来てしまった! では、本来の基礎と土台を接合する役目も半減してしまいます。

このアンカーボルトを、立ち上がり部分のコンクリートを流し込んで、まだコンクリートが固まらないうちに上からズボっと入れ込む(田植えの稲の苗のように)方式は、あまりしないほうがいいでしょう。

なぜなら、基礎の立ち上がり部分の中には鉄筋(主筋と縦筋と場合によっては補強筋)があり、コンクリートの中には骨材(砂利のこと)があることもあり、スボッといれても狙った位置に入らないことは多々あります。

そうすると、基礎の中心線からずれた位置にアンカーボルトが設置されてしまうなんてことになりかねません。

アンカーボルトの画像

これを防ぐには、アンカーボルトも専用固定金具で型枠に設置し、コンクリートを流し込んでもボルトがずれないようにして打設するのが望ましいです。

ましてや、ホールダウン金物用のアンカーや、微妙な位置を狙わなければならないアンカーボルトであはなおさらです。


 

今回の記事は以上です。

次回は「基礎の立ち上がりコンクリート打設」です。

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