新築工事の基礎で、配筋検査も無事完了したら、スラブ(底盤)のコンクリートを打設します。
現場監督さんはコンクリート打設日前にこのような事に気を使います。
- 配筋の最終チェック
- 生コン打設時の車両配置の確認
- 天気予報の確認
- 職人さんの人員確認
やり直しは効かないコンクリートの打設ですから、慎重に慎重を重ねて準備します。
そして打設日当日。生コンを積んだミキサー車が現場に到着!
さぁ!コンクリートの打設です。
でも、どうやって生コンを基礎部分に流し込んで打設しているのでしょうか?
ミキサー車から垂れ流し?・・・いえいえいえ。そんなことは致しません。
今回は基礎工事の生コン打設方法、スラブ(底盤)部分をポンプ車を使って行う打設状況を解説します。
基礎工事でポンプ車を使う時に登場する車両たち
住宅の基礎工事でコンクリートを打設するときに登場する車両はどんなものがあるでしょうか?
- 生コンミキサー車(生コンを現場まで運んでくるトラック)
- ポンプ車(ミキサー車から基礎部分へ生コンを圧送する車両)
まぁ、これくらいしかありませんが、それぞれ解説します。
ミキサー車とは?
生コン車は、荷台部分にへんてこりんな形のものを背負ったトラックです。間近で見たことは無くても道路で走っているのは見たことがありますよね。
この中に生コンが入っているんですね。で、よーくみると「へんてこりんな形の部分」がくるくる回っているのを見たことがある人もいるはずです。
この丸い部分の中には螺旋状の板がついていて、それが回転することによって生コンを撹拌し、工場から出荷された生コンが時間の経過とともに固まってしまわないようにして運搬しています。
ミキサー車の回転する部分はどっち方向に回っているか知っていますか?
答え!
生コンを運搬しているときは反時計回り(車両を真後ろから見た時)に回転させながら走っています。生コンを出すときは時計回りです。
固まってしまわないように回転させているといっても時間に限度があります。
生コンが造られてから90分以内に荷降ろしをはじめ、120分以内に打設完了というルールがありますから、この時間の範囲内で到着できるところにある生コン製造工場に発注します。
またミキサー車の車両の大きさも数種類あります。大型、小型とかありますが、小型ですと一度に運べる生コンの量も少ないです。
現場が狭い、あるいは現場までの道路が大型車両が通れない、といった場合に小型ミキサー車で生コンを運搬します。この小型ミキサー車の場合は「小型費」という割増し料金が発生します。
新築工事の見積もりで、基礎工事の欄に小型費とかの名目で金額が計上されている場合がありますが、これは上記のような理由で仕方の無いことです。
ポンプ車とは?
基礎工事で使用するポンプ車は、コンクリートポンプ車といいます。(消防車のポンプ車ではありませんよ)
コンクリートポンプ車(英語:concrete pumping truck)は、建築現場においてコンクリート圧送に使用される建設機械。コンクリート作業車ともいう。コンクリートポンプをトラックに架装したもので[1]、主に工場で製造されてトラックミキサにより施工現場に輸送されたフレッシュコンクリート(レディーミクストコンクリート(生コン))を、PTOポンプで発生させた油圧力を用いて、型枠まで輸送する用途に使用される。
wikipedeiaより引用
形的に2種類のポンプ車がありますが、基礎工事でよく見かけるのはブーム車と呼ばれる「コンクリートを離れた場所まで圧送する輸送管のついたブームを装備した車両です。
基礎工事の現場ではこのような隊列に車両を配置します
コンクリートを打設したい基礎部分と、ミキサー車の間にポンプ車を配置します。
ミキサー車で運ばれた生コンは、このように「基礎現場」へ送り込まれます。
実際の打設風景はこんな感じ!
ポンプ車から圧送された生コンが出てくる太いパイプを持った職人さんがいます。この職人さんが基礎内へどんどん生コンを流していきます。
その横に棒がついた機械をもった人がいますね。
これはバイブレーターと呼ばれる機械です。
では、この機械はどういう仕事をしている道具でしょうか?
バイブレーターとは?
生コンには製造した時に含まれる気泡や運搬時に入る気泡があります。この気泡があるとコンクリート内の材料の結びつきを悪くし、十分な強度が出ないことがあります。
そこでバイブレーターで振動を与え、生コン内の大きな気泡を抜き、コンクリート内の成分(セメントと骨材)を均等にします。
写真の右側に写っている職人さんは、現場に流し込まれた生コンにバイブレーターの棒を差し込んで振動を与えているんですね。
で、これをどんどん続けて基礎全体に生コンを流し込んでいきます。
そうすると、また違う道具が登場します。
この職人さんが持っている機械はマジックタンパーと呼ばれる機械です。
基礎の職人さんによっては、このような機械は使用せず(この機械は金額が高いので・・)トンボのような形状をしたレーキと呼ばれるもので作業している方もいます。
マジックタンパーもレーキも同じ目的で作業するものですが、コンクリート部分に接している板状の部分を動かし、生コンに含まれる骨材を沈めノロを浮かせ、表面を均す為の道具です。
レーキでは自分の手でタンピング作業を行いますが、マジックタンパーでは機械による振動があることにより、手作業に比べ数倍早く作業ができる機械です。
これを使用することによりコンクリートのエア抜き効果も発揮され、コンクリート表面のクラック防止にもつながります。
生コン打設は時間との勝負です
だらだらしてはいけません。生コンの打設は時間との勝負です。
生コンというのは材料であるセメントと水が反応し時間の経過とともに硬化していきます。
また出荷から打設されるまでの時間が長くなると、生コン内に含まれる空気量も少なくなり、生コンの滑らかさも失われていきます。そうすると作業のしづらい生コンになってしまいます。
滑らかさの失われた生コンは作業しづらいだけではありません。鉄筋の間に入っていく滑らかさもなくなってしまうのです。そうすると基礎の隅々まで生コンが行かないということに。
よって、生コンの打設は「時間との勝負」なのですよ。
住宅の基礎工事のスラブ部分では、このようにしてコンクリートが打設されます。
まとめ
どうでしたか?
基礎工事ではどうやってコンクリートが打設されるのか? おわかり頂けましたでしょうか?
生コンの打設は季節(気温)にも注意が必要です。気温の高い夏場では硬化が早いですし、気温の低い冬場では凍結することにも気をつけなければなりません。
また生コンには「呼び強度」とか「スランプ」とか「温度補正」とかの難しい言葉もついてきます。これらについては、また別の記事で解説します。
次の記事は、「立ち上がり打設前のチェックポイント」を解説します。
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