このブログ記事は、建築士が携わるリアル現場の家造り工程記録を書き続ける記事です。このブログ記事(終了予定4月?)を読み続けることによって、木造注文住宅がどのように出来上がっていくのかが分かります。
住宅を建てるお客様が普段見ることはない画像も掲載し、その場面に合わせた解説(建築士のウンチクや建材選びのポイントなど)も書いています。よって自分の家造りで失敗しない為のチェック項目としても使えますよ。
建築士が直に携わる住宅建築現場レポート。今回は4日目、掘り方をしました。
「掘り方」とは、住宅の基礎を施工する際に、地面を掘る作業のことを言います。
では、今日の作業風景を見てみましょう。
地面を掘るのはユンボで行います。
基礎の掘り方作業は外周部から行っていきます。まず外周部を堀始め徐々に中央部にいきます。
この写真を見ると、外周部に溝みたいな感じで深い部分があります。これはなぜかと言うと、基礎の形状がこのようになっているからなんですね。
へぇ〜。基礎の下の部分って平らじゃないんだ。
この住宅の基礎は「ベタ基礎」と言われる造り方です。その「ベタ基礎」の底の部分は断面図で表すとこのような形状です。
左側の断面図を見てもらうと、ぐっと下に折れ下がっているのがわかると思います。この形状に合わせて地面を掘っているんですね。
なるほど!建築専門用語
ベタ基礎とは?
ベタ基礎とは、基礎の底の部分が鉄筋コンクリートで一面につながった基礎のことを言います。
このベタ基礎のメリットは基礎底面が一体となっているため、不同沈下(一部分のみが沈下してしまうこと)が防げ、床の下も全てコンクリートであるためにシロアリ被害や地面からの湿気を防ぐことができます。
逆にデメリットはコストが高くなることです。当然全てをコンクリートで覆い、その中にも鉄筋を入れるのですから材料費は高くなります。
また、ベタ基礎の対義語は布基礎です。
では、なぜ外周部が堀り下がっているのでしょうか?
この上の画像のAとB。「高さのある棒」と「高さのない棒」です。どっちが上からの荷重に強いと思いますか?
なんとなくイメージできると思います。当然、「B」の高さのある棒のほうが上からの荷重に強いイメージありますよね。「A」の棒だと荷重のかかったところでボキッと折れそうです。
これを基礎に当てはめると、四方の立ち上がりの高さが高いほうがより鉛直荷重に強くなります。しかし、強くするために上方向に立ち上がり部分の基礎を大きくすると家の床が高くなってしまいます。
基礎梁の全体の高さが大きくなれば強くなるということは、上方向だけではなく、下方向に基礎を造っても同じことなのです。よってベタ基礎では下方向に基礎を造るから、あのように外周部の基礎が彫り下がっているんですね。
また外周部以外にも、中央部に下方向の基礎を造るときがあります。木造住宅でも構造計算などで荷重が大きくなると判断された場合は、中央部付近にも下方向の基礎を造ります。これを地中梁と言います。ごく一般的な木造住宅では地中梁はあまりありませんが。
ベタ基礎と布基礎はどっちがいい?
最近の住宅ではベタ基礎工法を採用する現場が多いです。よく「ベタ基礎と布基礎はどちらがいいですか?」と聞かれることがあります。これは時と場合によると答えればいいでしょうか。地盤の強さや凍結深度(冬季に地面が凍る深さ)によっては基礎の深さをより深くしなければならない地域など、これらを考えて基礎形状は判断されます。
よって基礎形状は住宅会社や建築士が判断しますので、お客様は基礎の形状を考える必要はなく、形状判断はプロに任せればいいでしょう。
どうでもいいことですが、ユンボとは、なんでユンボと呼ぶ?
みなさん「ユンボ」という言葉は、なぜ「ユンボ」なのか知っていますか?
ユンボとは別名パワーショベルや油圧ショベル、バックホウとか言ったりもします。同じ機械のことを言っているのですが、なぜか「ユンボ」という言い方のほうが一般的だったりします。我々建築に携わる人間も「パワーショベル持ってこいや!」なんて言わずに「ユンボ持ってこい!」って言います。
ユンボと言う言葉は、アルファベットで書くと「YUMBO」です。これは昔の海外の会社の製品名であり、正確にはこの機械の商品名ではありません。昔の、この「YUMBO」という製品名がいつのまにか一般的に呼ばれるようになったそうですよ。
1948年にプロトタイプを数台造ったが資金難に陥ったイタリアの兄弟(Carlo and Mario Bruneri [2][3])から仏SICAM社が1954年に特許を得て、同年Yumboと銘打ったS25型を造り、1960年代始めに米国(Drott社)、スペイン(TUSA社)、日本(三菱)、英国(Priestman社)にライセンス供与を行った[4]。SICAMと技術提携した新三菱重工 (現・三菱重工業) が、1961年に代表機種のY35を初めて国産化した際にも「ユンボ」の名称で発売したものである[5][注釈 1]。同商品の性能のよさもあり、その名称が油圧ショベルの代名詞として浸透した。このため、早くから油圧ショベルを利用してきた土木建設業界では「ユンボ」の名称が「油圧ショベル」の代名詞として使われている場合が多い[6][7]。
wikipedeiaより引用
私も知りませんでしたが、「ユンボ」はレンタルのニッケン(建設機械のレンタル会社)の登録商標のようです。
まぁ、どうでもいいことですが・・・。
さっき言っていた、「地盤の強さ」って?
順番が逆になってしまってすいません。当然ですが、基礎工事に入る前に地盤調査という地盤の強さ(硬さ)を調査します。
地盤が弱い場所であれば、地盤補強工事などを施工しなければなりません。この現場では地盤が良好でしたので、改良工事は行わずそのまま直接基礎で施工を進めています。
では、どういった地盤のときに地盤改良工事をしなければならないのか? を次の記事で解説します。(すいません!明日は日曜日で現場作業しませんので、次の記事ネタの為に今回は書きません!!!)
いっぺんに書けや!っていうか基礎工事の前に地盤の記事書けよ!
申し訳ございません・・・
次の記事は「地盤調査にはスキルが必要」です。
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