和モダンとは、和の要素である日本的なものと、モダンの要素である現代的なものが合わさったテイストを言います。
今回の記事では、その和モダンな玄関を造るための考え方をパース図を使い解説します。
和モダンの要素
和を感じる色
和を感じる色には次のような色があります。
①藍色 わずかに緑がかった青いろ
②墨色 灰色がかった黒いろ
③抹茶色 抹茶のような緑いろ
④朱色 やや黄色みがかった赤いろ
⑤茄子紺(なすこん) なすの実のような濃い紫いろ
⑥香色 黄色がかった明るい灰黄赤いろ
どの色も派手すぎない落ち着いた印象の色です。いかにも日本人の美の意識、繊細な四季の色を表していて、日本を感じます。
これらの色をインテリアに採用すると和のテイストに近づきます。
当然、全ての色を入れてしまっては、ちぐはぐな空間になりますから、自分の気に入った色をベースに、周りの色を考えるといいでしょう。
和を感じる素材
和を感じる素材には次のような物があります。
①和紙
②格子
③障子
④無垢の木材(ヒノキやスギなど)
これらの素材を要所要所に使い、和のテイストを出しましょう。
モダンの要素
モダンとは現代的であるという意味であり、シンプルで洗練された現代的な要素であります。
モダンを感じる素材
①コンクリート
②ガラス
③石
④金属
組み合わせを考えてみよう
では、実際に玄関ホールであてはめて、和モダンの雰囲気なるように考えてみます。
ベースとなる間取りはこの玄関ホールで検証します。
よくある普通の玄関ホールです。
まずは床(土間)から変えてみます。
床は実際に足で触れるものですから、触れてみても和を感じる素材である、無垢の床材(ヒノキなどの白木)に変えましょう。無垢材が予算的に難しいようであれば、色合いだけでもそのような色に近い物を選んでください。
また玄関の土間も普通のタイルではなく、和の仕上げ方である洗い出し仕上げにしてみます。
洗い出し仕上げとは、モルタルに小石などを混ぜて塗り、そのセメントが乾かないうちに表面を水洗いして小石を浮き立たせた仕上げ方を言います。
混ぜる小石の色によって様々な雰囲気になります。今回の検証では一般的なグレー色の骨材を混ぜた洗い出し仕上げにしてみます。
どうでしょうか?
床だけを見れば、もう和のテイストに感じませんか?
ここを赤っぽい色(木目色)にするとアジアンテイストに近くなってしまいます。
次に造作材(巾木や階段や建具)の色を変えてみます。
面積の広い建具本体は床の色に合わせて、あまり主張してほしくない物(巾木や建具枠材など)は白くしました。白木色でもOKです。
またモダンインテリアには邪魔な要素である廻り縁は排除しました。
この画像を見ると、どうも建具のデザインと下駄箱がモダンのテイストに合いません。
これを変えてみます。
建具本体はモダンなデザインの一本線が入ったもの、下駄箱は真っ白い陶器を思わせる鏡面の白いものに変更しました。
また右側の建具の高さが変わっているのに気づいたでしょうか?
床から天井まである高さの建具に変更することによって、シンプルでありながらも存在感のある要素としてあります。こうすることにより、一層モダンな雰囲気となります。
ここでちょっと遊んでみます。
より一層印象的な玄関ホールにするために、下駄箱の下に照明を配置して、階段も蹴込み板を無くしてスッキリに、階段中央の壁は床柱を思わせる茶色の色合いに変更してみます。
ちょっとだけおしゃれに見えるでしょうか?
では、さらに和モダンの要素を足してみます。
階段の手前のところに、降りてきた人が直接見えないように縦格子を配置してみます。格子も和の要素のひとつですね。
だいぶ和モダンの雰囲気になってきました。
ここまでで、変更していない壁と天井の色を変えてみます。
まずは天井の色を木目色に変更します。
天井は床の色よりもちょっとだけ濃い色にして、和の雰囲気である落ち着きを表現しました。
また天井左側を折り上げて、平坦でのっぺりとした雰囲気を変えてみます。この折り上げたところに間接照明などを入れれば、よりモダンな雰囲気に近づきます。
最後に壁を変えてみます。
モダンな要素がほしいので、コンクリート色にしてみます。
全ての壁の色をコンクリート色にしてもいいのですが、この間取りの場合、窓がこの空間にないため暗くなってしまいます。よって濃い色の要素である格子と壁のコンクリート色を右側に、反対の左側には白い壁と真っ白い下駄箱と間接照明で明るい壁を配置しました。
まとめ
ここで一番はじめの画像と和モダンのテイストを足した画像を並べてみます。
今回の物件では、あまり広くないどこにでもある玄関ホールを和モダンな雰囲気に近づけてみました。
まったく同じ間取りですが、和モダンな玄関ホールにできたと思います。
和を感じる色合いと素材、そしてモダンを感じる素材を組み合わせることによって普通な間取りでも、ここまで和モダンにできます。
新築であれば間取りから考えていけば、もっと和モダンな要素を入れることができます。
例えば、この画像では窓がない空間ですが、右側の壁に窓を配置してみてもいいかもしれません(間取りによりますが)
和モダンなインテリアでは無機質な色合いが多いため、今回の画像でもそれを補うために植物の緑を配置してありますが、窓の向こうにステキなお庭(緑)が見えるのもいいでしょう。
また和のテイストの照明を壁に取り付けてみてもいいかもしれませんね。
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