一般の方は天井なんてあんまり考えないかと思います。住宅屋さんも特に何も言われなければ特に言わないだろうし、打ち合わせのネタにも登場しないでしょう。せいぜい仕上げのクロス材は何色にしましょうか?と言われるくらいかと思います。そんな天井ですが、ちょっとの工夫で部屋の雰囲気は激変します。今回は天井について考えてみます。
天井の種類
天井の種類と言っても、仕上げの材料のことではありません。作り方(天井の形)のことです。日本には昔から和室などで格天井と呼ばれる大変立派な見た目の天井がありました。その他にも無数に天井の作り方はあります。
代表的なもの
格天井(ごうてんじょうと読みます)・・・木を格子状に組んで組み合わせた天井
折り上げ天井 ・・・天井中央部を一段高くしてそこへ格天井を組んだもの
さお縁天井 ・・・野縁とよばれる木で天井板を挟むように施工する構造の天井
ボード張り天井 ・・・下地材を野縁で組んでそれにプラスターボードなどの仕上げ下地材を施工する天井
他にもたくさん種類はあります
格天井などは主に和室に採用されています。しかし昨今の住宅ではそもそも和室がなくなりつつあり、また住宅のコスタダウンに伴い、コストのかかる天井は採用されなくなっています。住宅の工業化に伴い、省施工のボード張り天井が主流になっています。
今回はそのボード張り天井をちょっとの工夫、ちょっとの手間で(それほどコストアップせずに)魅力あるものに変化させる手法を紹介します。
フラットな天井ではなく高低差で変化をつけよう
下の画像を御覧ください。
普通であり、特にデザイン性もないシンプルなLDKの部屋です。
これはこれで否定するつもりはありません。シンプルイズベストと言われるように、すっきりしていて清潔感のあるお部屋です。
ですが、使う材料(床、壁天井のクロス材、照明器具、建具など)が比較的低コストなもので施工すると、ちょっと寂しい部屋になってしまいます。失礼な言い方をすると建売住宅みたい、という表現でしょうか。
せっかくの自分の家なのですから、もう少し印象的なお部屋にしたいと思う方も多いでしょう。でもコストはそんなにかけられないという方も多いでしょう。
次の画像を御覧ください
どうですか?
キッチンエリアの天井とダイニングからリビング側の天井と約10cmの段差を付け、それぞれのクロス材料の色を替えてあります。
たったそれだけです。
これだけでもかなり印象が違うと思います。
これを施工するには天井の下地の野縁を高低差を付けてくみ、色の違うクロスを張ってもらうだけです。正直高低差をつけるために、天井下地材の野縁は若干余分に使いますが、金額にしてみれば数千円です。
また施工する大工さんの手間が発生しますが、高低差を作るための施工時間は、手の早くない大工さんでもほんの1時間余分にかかるくらいです。
上記の画像は木目のクロスを張ってありますが、一般的なクロスメーカーであればどこでもある柄です。つまりコストは同じということです(量産クロスとAAクロスの違いはありますが・・・)
これら金額を合計しても、多く見積もっても2万円前後の差額ではないでしょうか?
たった2万円で、この印象の天井が施工できるのであれば選択する価値は十分にあるのではないでしょうか?
注意!
施工する会社の標準仕様の天井高さを高くすると、間違いなく大きくコストアップします。上記の考え方は標準の天井高さから逆にキッチンエリアの天井を低くする手法です。低くするにしても天井高さは2m40cmは確保したほうがいいです。それ以上低いと圧迫感が出ます。
まとめ
コストをかければそれはいい建物ができます。天井だけでなく他の部材も上を見ればきりがありません。
ですが誰しも予算というものがあるはず。その予算の範囲内で可能な限りのいいものを手に入れたいはずです。今回は天井のことをお話しましたが、わずかなコストで印象ががらっと変わることはたくさんあります。
はじめに書いたとおり、天井をこうしましょうか?と提案してくれる住宅屋さんはそんなに多くないかと思います。逆に施主のほうから「こんな天井にしたいんですが、なるべくコスト掛けずにお願いします」と要望すれば、大部分の住宅屋さんは魅力のある天井を提案してくれるはずです。
また次回も住宅の細かい部分のお話をしていきますのでお楽しみに。
コメント