どこの住宅会社でも坪単価という金額を出しています。
これはその家の建築工事費を延床面積(じつは会社によってこの面積の定義も違います。後で説明します)で割った、坪あたりの金額です。
20年以上いろいろな会社を間接的に見てきた私が思うのは、
この金額の真実を知らないと痛い目に会うと言うことです。必ず総工事費を出してもらってください。
その理由を説明します。
坪単価の定義
この定義は会社によってまちまちです。
建築工事費と言いましたが、会社によってこの定義がまず違います。
建築工事費
一般的に建築工事費に含まれている項目
・建物を建てるための金額(柱や土台などの構造材からサッシや床材などの部材費、職人さんの手間までを含めた金額)
以上です。当たり前や!って思うかもしれませんが、逆に絶対に必要なのに含まれていないことが多い項目があります。
工事費に含まれていないケースが多い項目
・設計費
・建築確認申請費及び特殊申請費・図面作成費
・外部給排水配管工事費
・外構工事費
・照明器具費・網戸費
・カーテン、カーテンレールなどの装飾品と家電費用
・登記費用
・火災保険費 などなど
これらはその会社によってまちまちです。
特に気おつけていただきたい項目は建築確認申請費や特殊申請費の金額です。
申請費
なぜ含まれていないのか?
それは物件によって必要となる申請が異なるからです。
建築確認申請費は基本料金は面積によって多少異なりますが、だいたい一緒です。
しかし、特殊申請費はかかる物件はかなりかかり、ない物件は0円です。
例えば、その建てる場所の前に川があって橋などを通過して敷地に入る場合は河川専用申請が必要になります。埋蔵文化財申請地域であればその申請も必要になったりします。この類はたくさんあり、その必要な申請によってかかる費用も異なるため、坪単価には算入できないのです。
これはその会社さんに聞いてもらえれば、自分の建てたい場所に必要な経費は算出してくれます。
外部給排水配管工事費
これは、道路にある水道管や下水管まで配管を地面の中にうめて接続する工事費です。
これがなぜ含まれていないか?
場所によって配管の長さが異なるからです。なんとなく想像してみてください。入り口から長ーい敷地と、短い敷地ではその建物まで地面の中に埋める配管の長さが異なるのは想像できるしょう。
この費用はだいたいmあたりの単価で算出する会社が一般的です。当然ながければ高額になり、すごく短ければ安くすみます。これも会社さんが敷地に合わせて算出してくれます。
また、そもそも下水管が整備されていない地域ですと、浄化槽工事が必要になります。
延床面積
これも会社によって異なりますと言いましたが、延床面積という数字の出し方は建築基準法では当然決まっています。
簡単に言えば2階建てであれば、1階の面積と2階の面積の合計です。
ですが、坪単価で使う面積はその会社によって異なります。建築基準法で言う延床面積ではないのです。まじめに建築基準法で定義されている延床面積で計算する会社もあれば、施工面積という数字で計算する会社もあります。
施工面積
これは建築基準法では定義されていません。言ってみればその会社が建物を建てる際に施工する面積計算を、勝手に決めて計算しているのです。ここも面積だ!といえば面積なのです。
例えば、バルコニーやポーチなどのタイル部分、小屋裏収納などの面積に含まれない部分などがあります。
なぜそうするのか?
同じ数字(工事費)でも大きい数字(面積)で割れば、答えの数字(坪単価)は小さくなります。
この場合で言えば、なるべくバルコニーやタイル面など可能な限りの面積を足して計算すれば坪単価は安い金額となるわけです。
ここもチェックして
家に必要なのは、トイレや浴室、キッチンが必ず必要です。これは大きい家でも小さい家でも同じこと。
わかりやすく言えば、30坪の家に設置する、とあるメーカーのトイレが10万円だったとしましょう。
で今度は40坪の家に設置するトイレの金額は?というと、
同じメーカーの同じトイレであれば10万円です。当たり前です。家の面積が違ってもトイレはトイレです。面積にトイレ金額は比例はしません。
何を言いたいかというと、どの家でも共通なもの(トイレとかキッチンとか)は同じ金額ですから、小さい面積の建物の場合、坪単価は高くなります。逆に同じ設備(トイレとかキッチンとか)であれば大きい面積の建物では坪単価は安くなります。
ですので、会社によっては提示している坪単価は何坪から何坪までですよ〜と書いてあるはずです。
まとめ
坪単価だけ見て、
この会社安ーい!っといって見積もりを出してもらうと、総工事費が、ん?というくらいの金額が出てくるときがあります。
また坪単価が高ーい!って思ってた会社が、今度は総工事費が安い場合もあります。
つまり坪単価というのは正確な定義はありませんので、いくらでも会社によってコントロールできるのです。
また坪単価を安く提示しておいて、オプションの工事費を一般的な工事費よりも高く提示する会社もあります。これら全てを含めた金額で考え、比較してください。
複数の会社で相見積もりをとった方は、それぞれの項目やオプション金額を比較してみてください。
一概に言えませんが、坪単価を安く提示している会社は、オプション工事の金額が高い傾向にあります。オプションといえどもその工事をしなければ建築できないのですから、そこで利益を確保するわけです。
逆に坪単価が高い会社だと、意外なものまで標準工事に入っていたり、オプション工事も良心的な金額で出してくれる傾向にあります。これは本体工事で十分な利益を確保しているからです。
注文住宅を購入する方も、建売住宅を購入する方も必ず総工事費で比較するようにしましょう。
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