20年以上住宅に関わる仕事をしてきた私がおすすめする床材は、圧倒的に無垢の床材です。
確かに近年の床材はノンワックス性能、耐キズ性能等が高いためメンテナンス性には負けます。しかしなぜ無垢の床材をおすすめするのか解説します。
無垢材とは?
無垢(ムク)の床材と言ってもピンとこない方もいるのではないでしょうか?無垢材とは、その素材の原材料から使用する形状に切り出したものを言います。よって木材に限らず、その他材料でも無垢という言葉は使います。石とかいろいろ。
床材では、簡単に言えば丸太を床材に使用できるように板状に加工したものが 無垢の床材 になります。
では、それ以外の床材は何でできているのか?
種類によっても異なりますが、ベニヤの物やウッドチップを固めて板状にしたものなどがあります。その下地材に表面の仕上材を張り付けて床材の製品となります。
無垢の床材の種類
無垢とはその素材から切り出したものと説明しましたが、ということはその原木の種類がそのまま床の材料ということです。なんのこっちゃ?という感じでしょうが、桜の木から床材を作ればサクラ無垢材の床材、欅の木から作ればケヤキ無垢材の床材となるわけです
どうですか?自分の家の床の材料の木の種類がわかるだけでもわくわくしてきません?極端なこといえばそこらへんに立っている木、ケヤキとかってありますよね?それと同じ樹木で作られている、それが明確にわかるだけでも
無垢床材でよく使われる木の種類では下記のものが聞いたことあるのではないでしょうか?
- パイン
- オーク
- バーチ
- ウォールナット
- チーク
- ヒノキ
- スギ など
種類による特性の違い
木の種類によって特性は異なります。固さ、変形のしやすさなどです。
ヒノキは昔から殺菌作用があると言われてきました。スギは非常に柔らかい木であります。逆にチークはものすごく固い。
無垢床材のデメリット
先にデメリットを書きます。これが許せない方は残念ながら無垢床材は選ばないほうがいいです。
- 傷が付きやすい
- 木自体が収縮、膨張する
- 無塗装品は汚れに注意
- 値段が高い(物により色々ですが)
- 少なからずメンテナンスは必要
杉などは柔らかい木の代表格でしょう。ちょっとなにか落としただけでもうっすら凹みます。確実に凹みます。これを防ぐにはなにかカーペットとかを敷くしかないでしょう。しかしそれでは無垢の床材を隠してしまい本末転倒です。しかしオーク以上の木になればある程度の硬さはあるため、よほど柔らかい木を選ばなければそこまで神経質にならなくてもと思いますが、メーカーが傷がつきにくいですよとアピールしている床材に比べれば確実に傷は付きます。
また木自体が収縮、膨張すると書きましたが、それは木が調湿作用があるからです。まわりの湿気に影響をうけます。含水率という言葉を聞いたことがあるでしょうか?どれだけの水分が含まれているかという数値です。一般的に市場に出回っている床材はその含水率が一定の数値以下のものを出荷しています。しかし普通にしてても木は湿気をすいます。ということは現場に行くまでも、現場で開封されて施工されるまでの空気中の湿気にも左右されます。
木が収縮し膨張するとどうなるでしょうか?
床材は木と木を突きつけて(正確にはサネといわれる、それぞれが組み合わさる加工がされています)張り込みます。はじめはぴったりくっついていても縮まってくるとこの部分の隙間が空いてきます。今まで私が見た中で一番隙間が空いていた現場は十円玉を2枚重ねた厚さくらいの隙間がありました。それくらい木は収縮するのです。
では逆に膨張するとどうなるでしょう?
突き合わせて貼ってある木と木が互いにおしあい、突き合わせている部分が盛り上がります。これも正しい施工がされていないとものすごく盛り上がります。靴下履いていても、薄いスリッパを履いた状態でさえもわかるくらい盛り上がります。
床に無垢を使う場合は、だいたいが何かしらの塗装をしたほうがいいかと思います。無塗装の風合いは確かに心和みます。しかしなにも塗装されていない木ですと水分には要注意です。簡単にシミ、汚れになってしまいます。
これらデメリットも正しい施工がされていれば、ある程度は防ぐことができます。大工さんが床を貼る際にも梱包から開けてすぐに張るのではなく、ちょっとの間は裸の状態でそのまま置いておきます。そうすることでその場の空気に馴染みます。張るときも初めからぴったり突きつけて張り合わせるのではなくわざと隙間を開けながら張るのも有効です。これらは季節によって左右されますので、それを判断できる大工さんでないと難しいかもしれません。
無垢床材のメリット
- 自然の風合い
- 2つとして同じ表情のものはない
- 木がもつ柔らかさ(物質的な柔らかさと)
- 経年経過によって表情は変わる
これらが無垢の床材を選ぶ理由です。これはいくら字で説明しても伝わらいはずです。だからこれ以上書きません。
一度どこかの住宅展示場で体験してみてください。きっとわかってもらえるはずです。
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