誰にでも完璧な間取りなんて絶対にあリませんが、他人の間取りの失敗談を聞くのは参考になります。
今回の記事では、建築士である私がお客様との家造りで失敗した、そのお客様の体験談をご紹介します。
この記事内の失敗談10選を参考に、ぜひあなたの家造りに役立ててみてください。他人の失敗談を聞けば、少なくともあなたは同じ失敗をしなくて済みます。
あなたにもこれほどアドバイスしたのに・・・ねぇ?とならない事を祈ります。
注文住宅間取り失敗例① 2階のキッチンからゴミを出すのは大変だ!
LDKを二階に設置する理由はいくつかあります。1階に比べてプライバシーの確保が容易であるから、採光の関係で2階にリビングを持っていきたい、などの理由があるでしょう。
そこで、二階にキッチンを設置しようとしている方にアドバイスしたいことが、生活のゴミの大半はキッチンから出るということです。
キッチンで調理した料理のゴミやその生ゴミ、お父さんが飲んだビールの缶、家族みんなの生活用品のゴミなど言い出したらキリがありません。しかし、近所のゴミ置き場まで持っていくには階段を降りて玄関などから出すしかありませんよね。
ここで想像してみてください。
生ゴミなどでは滴る水が出ませんか?一般ごみでも大きな袋に入れて階段を降りるのは大変ですよ。
ゴミ出しの日のたびに、お父さんが階段を掃除してくれますからキレイでいいんですけどね。
注文住宅間取り失敗例② 3畳のタタミコーナーを造ったけど、狭くて何にも使えない
リビングの一角にタタミコーナーがあると、デザイン的なアクセントになったり、小さな子供の世話などに利用できます。
しかし、たった3畳のタタミコーナーでは部屋としての利用用途が限られます。
昼寝するのに使ってもいいでしょうが、定員は1人が精一杯。こたつを置きたくても狭くてこたつ布団が畳からはみ出ます。
注文住宅間取り失敗例③ 夫婦の寝室を7.5畳で造ったけど、ベッドを置くと結構狭いね?
洋室や寝室の広さは4.5畳から8畳が一般的でしょうか。家の全体的な大きさの制限もあるでしょうが、夫婦の寝室は8畳あったほうが間違いなくいいです。でも1人なら8畳以下でも問題ありません。
ベッドのサイズは
シングルサイズで横幅97cm × 長さ195cm
セミダブルサイズで横幅120cm × 長さ195cm
ダブルサイズで横幅140cm × 長さ195cm
クイーンサイズで横幅160cm × 長さ195cm が一般的な大きさです。
また、7.5畳の部屋の短辺方向の有効幅(壁の内々寸法)は、約260cmです。
260ー195=65
ベッドを下記の図面のようにおくと、壁までの残りの距離は、わずか65cmです。
枕元に棚があるようなベッドだと・・・
さらにベッドサイズよりも布団はもっとはみ出ますよね・・・
7.5畳の寝室では、夢にまで見た高級ホテルのようなベッド生活はできません。
置く必要のある家具をしっかり想定して広さを考えましょう。せっかく造ったウォークインクローゼットでも寝室がウォークインでなければなんの意味もありません。
注文住宅間取り失敗例④ 2畳の広さの洗面脱衣場では定員が1人だった
洗面所の広さで一番多いのが2畳のサイズではないでしょうか?
では、この洗面所に置くものを想像してみてください。
洗濯機と洗面台は当たり前です。コレ以外に浴室で使う備品のストック、タオルなどの置き場などものを置くスペースも必要です。あとこの部屋を使う人、つまり洗濯機を操作するお母さん、髪の毛をセットしたい年頃の娘さん、ひげを剃るお父さんなど使う人は1人ではありません。しかも使う時間帯がどれもほぼ同じ。
もう、毎朝洗面所が大繁盛するのは目に見えてます。
この広さがあれば、タオルなどを置く棚も余裕をもって設置できます。
注文住宅間取り失敗例⑤ 引き戸が良かったから全て引き戸にしたけど、照明のスイッチの設置場所がとんでもなく遠かった
片引戸の小壁は一般的な壁よりも薄いですが、建具の引き込み側でない壁面にはスイッチなどを設置することはできます。しかし建具の引き込み側の壁面には設置できません(無理やり施工することはできますが・・・)
また一般的にこの片引戸の建具の引き込み側の壁面は居室側にむけます。スイッチも一般的には照明がある居室内の入り口付近に設置するでしょう。
んっ?どちらも同じ場所?とうことは?
賢明なあなたなら、スイッチを隣の部屋に設置するよりも引き戸を諦める方を選ぶはずです。
注文住宅間取り失敗例⑥ リビング階段にあこがれてそうしたけど、冷暖房の効きが聞いていた以上にかなり悪い
階段をリビングを通って行くような間取りにすると、子供が必ずリビングをとおてから自分の部屋に行きますから、家族のコミュニケーション向上の目的でこの間取りにする方は多いです。
以前からリビング階段の間取りでは冷暖房の効きが悪いというのは皆さん一度は聞いたことがあるかと思います。しかし、たぶん皆さんが想像している以上に冷暖房効率は悪くなります。
温かい空気は上にいく、冷たい空気は下に行く、まさにそのとおりで冬に暖房をつけても一向に暖かくならないなんて当たり前です。また夏場の蒸し暑い空気が階段からリビングになだれ込んできますから、夏場の冷房の効きも結構悪くなります。
カッコいい階段は素敵ですが、2年目の冬には寒いリビングに気付くはずです。
間取り的に建具で間仕切れるような状況であれば、容易に間仕切れる建具を設置するのもいいでしょう。
注文住宅間取り失敗例⑦ 憧れで屋上を設置したけど、2年間で屋上に行ったのは数回だけ
明らかな目的がなければ、屋上っていきません。まぁ行かない。
2階建ての屋上であれば3階に相当するところです。3階建ての屋上なら4階に相当します。3階まで階段で登るのは一回だけであればそんなに苦に思いませんが、何回もとなると面倒くさいです。年配な方ならなおさらです。しかも人間かならず齢をとる。
庭が十分に確保できなくて、屋上でガーデニングなどを目的に設置するのは大変いいでしょう。そのような明確な目的があればいいのですが、ただの憧れだけだと絶対に行かなくなります。
また、普通の屋根(屋根工事)と屋上(防水工事)の工事費用では、間違いなく屋上をつくるほうがコストがかかります。
地域の花火大会を見る為だけに屋上へ足をはこぶならば、大会の近くの会場に足を運んだ方がよっぽどマシです。
意外に何も明確な目的が言えないものです。
注文住宅間取り失敗例⑧ 収納は多いほうがいいと言われて4畳の納戸を造ったけど、ただの広い洋室と化している
家の床面積に対する収納の割合は、12%前後が一般的です。100㎡(約33坪)の家ならば12㎡(4坪弱)くらいです。4坪というとタタミ8枚分の広さ。また人ひとりの必要な収納の広さは、衣服だけをしまうならば1畳の広さ、衣服とは別に物を収納するのであれば、ひとりに付き2畳の広さが必要と言われます。
ただ、広さはあっても棚などが効率よくしまえ、使用状況に合わせた棚がなければ、ただの空間です。ものを積み重ねるだけです。ひとによって収納の使い方はさまざま。
やみくもに収納の量だけを求めても、人に見せられない収納の出来上がりです。
また棚の奥行きにも注意してください。適当な奥行きのある棚だと置くに置いたものが取り出しにくくなります。
注文住宅間取り失敗例⑨ さあ、引っ越しだ!あれ?エアコンの室外機の置き場所がないぞ?
今時、各部屋にエアコンはだいたい設置するでしょう。室内のエアコンの設置場所はなんとなく考えるけど、意外と室外機の置き場所まで考えないもの。
二階のエアコンの室外機を地面に設置する場合はなおさらです。勝手口からの通路上に室外機がきませんか?そこに外水道ありませか?
ゴミ出しのたびに、エアコンの前を横歩きで通るのが趣味であるならば、否定はしません。
エアコンやテレビ、冷蔵庫などの大型家電は図面の段階でしっかり位置を考えましょう。
注文住宅間取り失敗例⑩ 子供が元気なのはいいけど、二階で遊ばれるとドタバタうるさい!
二階の物音は結構下階に響きます。ましてや真下の部屋ががおじいちゃんの部屋だったら。
多分おじいちゃんは、満足に昼寝する事もできず、子供の元気な騒音にびっくりして、餅を喉につまらせます。
床の遮音材は、旭化成のユカテックがオススメです。
コメント