バルコニーは2階建て以上の住宅ではほとんどの方が採用するのではないでしょうか?
でも、何に使いますか?そのバルコニー?
広いバルコニー欲しいんだよね!って思って造ったはいいけど、2年後にそのお宅に訪問すると大体の方がそもそもバルコニーに出ていないというパターンが非常に多いのです。(有効活用されている方もいますけどね)
そのバルコニーの利用用途をちゃんと考えて、大きさや形状、設備を考えないと、きっと掃除するだけのバルコニーになりますよ。
バルコニーの利用用途は何が考えられるか?
まず、言葉の定義からおさらいします。
バルコニーとは屋根のない外部の場所をさし、ベランダとは屋根のある外部の場所(2階以上)をさします。
今回の記事ではそれぞれの言葉の定義は無視し、一律にバルコニーと表現します。
では、バルコニーの利用用途として考えられるものは何でしょうか?
- 洗濯干場
- ガーデニング(ベランダガーデニング)
- 遊び場などの趣味の場所として
- 空間のアクセント、デザイン(外観及び内観)
- 採光目的
こんな用途が考えられるでしょうか。
私の建築士としての仕事の経験上、お客様の一番多い利用用途は洗濯物の干場です。
では、今回の記事ではその洗濯物干し場として使う場合のポイントを解説します。
※ガーデニングなどの趣味の空間としての活用方法はまた別の記事で解説します。
バルコニーが洗濯物干し場として必要な要素は?
洗濯物干し場としてバルコニーを使いたいのであれば、この5ポイントをチェックしてみてください。
- バルコニーの寸法(横幅と奥行き)は置かなければならないものも忘れずに(エアコンの室外機など)
- 屋根はあったほうがいい(ゆえにベランダとなります)
- 水栓(バルコニーの壁に一つあるだけでも違います)
- 電源(もしもの場合に備えてバルコニーの壁にコンセントが1個あるだけでも違います)
- 物干し金物は用途に応じて最適なものを選択
バルコニーの寸法(横幅と奥行き)
家族4人の洗濯物を干すとして考えると、どんなに狭くても下図の大きさ以上はあったほうがいいです。
これよりも狭いと満足に洗濯物が干せません。
洗濯物の干し場としてしか使わないのであれば、むやみに広すぎても空間を持て余しますので注意しましょう。(おそらくその広さを使いません)
屋根は?
建物の屋根と一体でつながった屋根とするのが一番いいです。テラス屋根を後付でもいいのですが、大きな台風などではちょっと心配な面もありますから。
このときの屋根の深さ(窓からどれだけ屋根がかぶっているか)に注意してください。このかぶり深さが少なすぎると少々の雨で洗濯物が濡れてしまい、深すぎるとお部屋に光が十分に差し込みません。
洗濯物が多少の雨でも濡れない理想的な深さは、屋根の先端から1500~1800mmくらいではないでしょうか?
水栓は何に使う?
ガーデニングするわけでもないし、水栓なんていらないよ、っていう方もいるでしょう。
でもちょっと待ってください。
布団や毛布をバルコニー手すり壁に干しませんか?これらを干す前に手摺を拭きたくありませんか?
ベランダの床を洗いたくはありませんか?結構汚れますよバルコニーの床って。
空気中のチリやホコリ、あるいは鳥などが運んできたもので意外と汚れるものです。
これらの掃除ごとをする時に、その場に水があるのとないのとでは大違いです。
2階に洗面台があればまだしも、ない場合は1階まで水を汲みに降りていかなければなりません。階段の途中で水をポタポタする心配もありません。
バルコニーに水栓がないとそのうちにきっと掃除しなくなります。だれでも面倒くさいでしょうから。
さらに、バルコニーの手摺壁の内側の壁ってだいたい緑色になります(苔、カビなど)。これは直射日光が当たらず風通しが悪いためにカビなどがどうしても発生します。
新築にお住まいになられて、そのような現象に困ったときは下記の記事を参考にしてみてください。
電源(コンセント)は何に使う?
はじめに言っておきます。
バルコニーで多分コンセント(電源)は使いません。(洗濯干し場としての用途の場合)
よっぽどなにかバルコニーでガーデニングやその他趣味のことをしない限り、コンセントの存在すら忘れるでしょう。
でも次の用途が考えられる方はあってもいいかもしれません。
照明の電源(防犯用途)
夜間にバルコニーでなにかしようと思ったときは、バルコニーに面している部屋の明かりをつければ十分な場合がほとんどでしょう。しかしもっと明るくしたい時には懐中電灯などを持ってくるよりも便利ですし、防犯上で人感センサーライトなどをバルコニーにつけたい方には重宝します。
あるいは、クリスマスツリーのイルミネーションの電源なんて使い方もあるかもしれません。
よくベランダの天井にダウンライトをつけたいと言われます。しかしダウンライトを取り付けた方に数年後に伺うと、ほとんどダウンライトは点灯しない、いや全くつけてないと聞きます。
おそらく普通の明かりの用途であれば部屋の明かりで十分であり、防犯用途ではダウンライトは全く用をなさず、ダウンライトを点灯していないのだと思います。
掃除用具の電源(バルコニーまわりの清掃)
掃除機をかけるときなど電源を必要とする器具を使うときは、電源がそこにあると非常に便利です。
私は年に一回、スチームクリーナーでサッシの洗浄をします。その時にコンセントを使用しています。
物干し金物の種類
この画像のバルコニー(ベランダ)についている物干し金物は、天井からぶら下げるタイプです。
他にも壁に取り付けるタイプ、手摺壁に取り付けるタイプなどがあります。
天井があるベランダであれば、間違いなく天井吊りの物干し金物が便利です。高さ調整もできますし壁からちょっと離して取り付ければ、洗濯物が風でゆれても壁に触れることを防ぐことができます。
天井吊り物干し金物
天井吊り物干し金物であれば、川口技研のホスクリーンZAシリーズがおすすめです。これは高さ調整がワンタッチでできますから、工具などなくても奥様でも簡単に高さ調整ができます。
似たような品番で、川口技研のホスクリーンZシリーズがありますが、この商品ですと高さ調整する場合にプラスドライバーが必要です。
壁付物干し金物
壁付物干し金物であれば、川口技研のホスクリーンHKシリーズがおすすめ。なおかつ75cmの長さがあれば、壁付でありながらも洗濯物を壁からなるべく離して干すことができます。55cmタイプもありますが、これだとちょっと壁に近いかもしれません。
手摺壁取り付け型物干し金物
バルコニーの手摺壁に取り付ける場合は、川口技研のホスクリーンLPシリーズがおすすめ。高さ調整も簡単ですし使わないときはアームも畳んでおけます。
取り付けには下地と工具が必要です
勧めておいてなんですが、物干し金物を取り付ける場合は壁の中に金具を取り付ける下地と工具が必要です。
新築の方は、物干し金物を取り付けたい場所を住宅会社に依頼しましょう。ついでに取り付けも依頼したほうがてっとり早いです。
壁付物干し金物の場合、ずぶといボルトでとめつけますから、一般の方は持っていないであろう工具が必要です。
天井つけ物干し金物と手摺壁取付用物干し金物は、ビス止めで取り付けできますから(ホスクリーンLPは別途パーツが必要です(といってもビスですけど)、下地の位置がわかり、なおかつインパクトドライバーなど工具があれば一般の方が自分でも取り付けできます。
自分で取り付ける場合のおすすめ工具
位置出しするのに必要なコンベックス(メジャー)はタジマ製剛厚シリーズがおすすめ。プロの私も愛用する非常に頑丈なコンベックスです。
インパクトドライバーはちょっと使うだけならブラックアンドデッカーのものがいいでしょう(安いから)。
物干し金物取り付けだけでなくもっとDIYに取り組みたい方はマキタ製のものをおすすめします。しっかりさが違いますし、同じ充電バッテリーでで掃除機や草刈り機さらにはラジオまでありとあらゆるものが一つのバッテリーで動かせます。
ちょっと話はそれましたが
都市部にある住宅であれば、ガーデニングなどの用途があるでしょう。
しかし、庭がちゃんと確保でき、バルコニーで特別なにかする趣味がなければ間違いなく洗濯物干し場とでしか使わないかと思います。ゆえにお父さんはバルコニーにでません。
住宅は必ずメンテナンスが必要です。あまり使わないバルコニーでも知らないうちに劣化が進んでしまうかもしれません。ほとんど行くことのないバルコニーをつけたが為に面倒くさいメンテナンスも必要になるかもしれません。
しっかり自分の利用用途を考えてから、憧れのバルコニー(ベランダ)を計画してみましょう。
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