街を歩いていると、三脚の上にある何か得体のしれない物の前に立って、「ジーッ」と機械の中を覗いている人見たことありませんか?
アレって何を見ているんだろう?って思いますよね。
そうです、こんな機械です。
これは測量に使われる「レベル測量機」という機械です。私が使用しているものはかなり年代物のレベル測量機ですが、これを使っておこなう作業内容は現代のものそれとほぼ同じです。
同じような機械で「セオドライト(トランシット)」と呼ばれる機械もあります。こちらはもうちょっと高度な測量ができるもので、現代では光学的に角度を数値化し詳細な測量を行うのが一般的です。
どちらの機械も人が覗くレンズがあり、そこを作業員の人が「ジーッ」と覗きこみます。
覗いたことがない方には不思議なモノが映っているように思うかもしれませんが、結論から言えば、覗いている部分は「ただの望遠鏡」です。
望遠鏡で景色でも見ているんですか?
当たり前ですが、景色を見るために覗いているのではなく測量をしているのです。
では、何が見えているのか?
興味がある方はどうぞ記事をご覧くださいませ。
今回見ていただく画像は、私が使用している「年代物のレベル測量機」から見える画像です。
レベル測量機からは「こんなもの」が見えます
では、作業員が覗き込んで見ている画像を御覧ください。
やっぱり景色見てるのね!
あっ、ゴメンナサイ。
いえいえ・・・景色を見るために覗き込んでいるわけではありません。上の写真をよーく見てみてください。
なにやら十字の線が見えませんか?この線が重要なんです。
レベル測量する実現場では、機械を覗き込んでいる人と反対方向にもうひとりいるのを見たことありませんか?こんな棒をもっている人です。
これは「スタッフ」と呼ばれる道具で、細かい目盛りがついている棒です。レベル測量では、先程覗き込んだ画像にあった十字線を目印にスタッフにある目盛りを読んでいるのです。
では、本物の「覗き込んで見えるスタッフが映っている画像」を御覧ください。
ちょっと画像がかすれてしまって見ずらいですが、十字の水平線は995mmあたりを指しています。作業員はこの数字を記録し、土地や道路などの対象物の高さを測定しているのです。
レベルとは「水平」ということです。つまり敷地内の地面の高低差を測定したり、敷地と道路との高低差を測定するのに用いるのが「レベル測量機」です。
対象物の高低差を測定するためには必須の道具です
でも、「目盛りを読む」ってそれで何がわかるの?
そうですね。ただ目盛りの数字を見ているだけでは何もわかりません。
しかし、測定したいポイントにスタッフ(目盛り)を設置し、複数のポイントで測定することによってポイントごとの目盛りを読み取っていけば、その数値の「差」で高低差がわかります。
このようにAのポイントの目盛りが900mmであり、Bのポイントの目盛りが700mmだっとすると、その差である200mmが敷地の高低差であるとわかるのですね。
上の図は単純な高低差ですから、レベル測量機を使わなくても簡単に測定できるでしょう。しかしもっと複雑な敷地でいくつものポイントの高低差を知りたい場合には、単純な巻き尺などの測定では不可能に近いです。
実際の現場では、敷地内の何ポイントもの場所にスタッフ(目盛り)を置き、複雑な高低差を割り出します。
住宅会社や建築士はこの測定結果の数字をもとに建物を設置する高さを決めたり、駐車場や塀などの高さを設計していくんですね。
家造りには高低差の測定も大切です
人間の目視って結構いい加減です。
単純に目で見ただけではほとんど水平に見えても、測量機械で測ると結構な高低差がある場合があります。これはいくら経験を積んだ建築士でも同じです。
上記の写真のように、パッと見では水平に見えても実は約20cmもの高低差があったということは、しばしばあります。
単純な敷地であっても、確かな家造りをすすめるために、しっかりとした測量を行いたいものですね。
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