木造住宅の基礎に換気口がないぞ! 大丈夫です。床下換気対策は基礎パッキンで行います

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住宅の床下換気対策は重要です。

しかし最近の木造住宅の基礎では、基礎の立ち上がり部に換気口がない場合がほとんどです。その理由はいくつかあります。

  • 基礎パッキン工法を採用している
  • 基礎断熱工法である

換気口が無いのには、こんな理由があります。

では、その換気口が無い基礎ではどうやって換気対策しているのでしょうか?

 

日本の木造住宅では、ほとんどが1階の床の直下で断熱層を造る工法が一般的です。床断熱材というものを床の下に設置する方法ですね。

この工法のとき床下の空間は「外部」と考えます。室内ではありません。しかし、この「床下」という場所はコンクリートで囲まれた空間ですから換気してあげないと湿気やシロアリなどからの被害が出てしまう可能性があります。

以前の住宅では、この床下空間の換気を行うために換気口というものを設置していました。一般の方でもこんな部材が基礎の途中にあるのを見たことがあるのではないでしょうか?

床下換気口

昔ながらの基礎の床下換気口

しかし、先程述べたとおり現代の住宅では上記のような換気口はありません。家の全周探してもこんな換気口部材は見つからないでしょう。

実は、換気口の代わりに基礎パッキンというものを使用して床下の換気を確保しています。

基礎パッキン

基礎パッキンロングの施工風景

基礎パッキンという部材は基礎と土台の間に挟み込んで施工する部材です。この部材で床下の換気対策をしているんですね。

では、その基礎パッキンという部材でどうやって換気しているのか?、またなぜ基礎パッキンを使用するのか? を詳しく解説していきます。

目次

「基礎パッキン」の種類はむちゃくちゃたくさんあります

基礎と土台の間に挟み込んで床下換気を確保する部材は各メーカーから発売されています。メーカーによっては「土台パッキン」とか言ったりします。いろいろなメーカーから同じような部材がたくさん発売されています。

そのたくさんある基礎パッキンの類の部材は、建築工法的に「ねこ土台」といいます。

その部材の厚さは2cmが一般的です。

一般的な基礎パッキン

一般的な基礎パッキンは長さが20cmで厚さが2cm

以前は一個の長さが約20cmのものが一般的に多く使われいましたが、最近では土台下の全周に敷き込むロングタイプが多く採用されています。

基礎パッキンロングタイプ

写真は基礎パッキンロングタイプの気密パッキン

今回は代表的な基礎パッキンメーカーである「城東テクノ」の基礎パッキン、基礎パッキンロングで解説します。

建築士
城東テクノというメーカーからは、使用用途にあわせてたくさんの種類の基礎パッキンが発売されています。

基礎パッキンロングをよく見ると・・

基礎パッキンロングタイプは土台下全周に敷き込みます。

お客様
全周に敷き込んだ基礎パッキンでどうやって換気しているの?
そう思いますよね。
基礎パッキンの断面をよーく見てみましょう。
基礎パッキンの断面

断面を見てみると隙間(穴)が開いているのがわかる

ぱっと見では真っ黒な基礎パッキンですが、横からよく見てみると隙間(穴)が開いているのが分かります。基礎パッキンの全てにこの隙間があります。この隙間から風が入る仕組みです。

つまり、基礎パッキンを敷き込んだ全ての場所で換気できる(風が入る)ということになります。

お客様
たったこれだけの隙間で換気できるの?
そう思うかもしれませんが、昔ながらの換気口と比べて基礎パッキンの床下の換気量はまったく違います。私は点検等で床下に潜ることがありますが、実際に床下で過ごしてみるとその換気量の違いが分かります。風がある日なんてもうビュービューです(ちょっと大げさですが・・・)
基礎パッキンロングでは、パッキン自体の全部に隙間があることにより家の全周で換気が可能となるわけです。
昔ながらの換気口ではどうしても換気できる範囲の限界があり、空気のよどみがありました。基礎パッキンでは家の全周で換気を行う事により換気口の欠点を解消した部材と言えます。
換気口との違い

出典 城東テクノのカタログより

 

実は、換気をしたくない場所もあります

床下の換気は大切ですが、この基礎パッキンを使用して換気をしたくない場所もあります。

床下の空間と室内がつながった空間となる場所、つまり浴室(ユニットバス)や玄関土間まわりなどでは、外部の空気を取り入れる入り口を造ってしまうと室内に外気が入ってきてしまうことになります。

このような場所には通常の換気ができる基礎パッキンを施工してはいけません。このような場所には気密パッキンというものを使用します。

気密パッキン

気密パッキンには隙間(穴)がありません

気密パッキンは通常の基礎パッキンと同じ厚さ2cmです。しかし、隙間(穴)がありません。

ユニットバス周りなどでは、この穴がない気密パッキンを使用して外気が室内に入らないようにしているんですね。

建築士
浴室周りなど室内空間とつながった場所に通常の基礎パッキンを使用すると、家の中に隙間風が入ってくるような状況になりますよ。

そもそも床下に必要な換気量ってどのくらい?

先程から床下の換気が大切です、基礎パッキンで施工すればより良い換気対策ができます、と言ってきましたが、そもそも床下の換気量ってどのくらい必要なんでしょうか?

4mごとに300cm2以上の換気口があること、または1mあたり75cm2の換気口を設置すること
と決められています。
城東テクノの基礎パッキンロングの換気量は「1mあたり92.33cm2」ありますから、基準を十分に満たしています。
通常の換気口で施工する場合では、4mごとに300cm2の大きさの換気口を設置する計画をしなければなりませんが、基礎パッキンロングでは普通に施工さえすればなにも計算しなくても基準を満たした換気面積が確保できるということになりますね。

基礎パッキンは基準をしっかり守って施工する事が大事です

施工性もよくて、確実に床下の換気も確保できる「基礎パッキン」ですが、施工基準を守って施工しないと思わぬトラブルになります。
まず普通の基礎パッキンで守らなければならない基準は、
  • 柱の真下には必ず設置する
  • アンカーボルトがあるところには必ず設置する
  • 1mあたり75cm2以上の隙間ができるように敷き並べる

これを守る必要があります。

また今回ご紹介したロングタイプで守らなければならないポイントは、

  • 全周に隙間なく敷き並べる

これを守らなければなりません。大工さんによっては「入れてあればいいんだろ?」って感じで上記の基準を知らない人もいます。

基礎パッキンは「入れればいい」っていうものではありませんので注意が必要です。

基礎パッキンは城東テクノ製がオススメです

城東テクノというメーカーは、昔から基礎パッキンを製造している会社です。また基礎パッキンだけでなく、住宅に使用する水切り(外壁で使用します)や床下点検口、床を支える束という部材などを製造しているメーカーです。

その城東テクノ製の「基礎パッキン」と「水切り」を使用することにより、10年間のシロアリ保証をしてくれる「シロアリ保証1000」という制度があります。それくらい換気量がいいってことなんですね。

建築士
城東テクノのシロアリ保証を適用するには、事業所登録された住宅会社である必要があります。気になった方は住宅会社に聞いてみてくださいね。

 

 

 

 

 

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 大倉喜八郎の別邸「蔵春閣」が新発田市に寄贈されました。
    復元建設にあたったのは、大成建設。
    基礎は、ベタ基礎。
    ベタ基礎のせいか?は、知らないが〜、1階の書斎の天井画に亀裂が発生。
    復元建設されてから、1年もまだ経たないのに。
    明治、大正の伝統的な建物なのだから、伝統工法の布基礎にして、床下換気のための通風口を開けたら〜?!
    1階書斎の天井画の亀裂も、無かったかもしれません!

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