マイホームの建築中の現場には「何もしない期間」が存在します。仕事をサボって放置しているわけではありません。意味がある「何もしない期間」です。
この一番初めに登場する「何もしない期間」は、基礎工事で生コンを打設した後にある放置期間です。これを「基礎の養生期間」や「基礎を養生する」と言います。
基礎工事において、なぜ何もしないのか? (基礎を養生する)というと、コンクリートの強度を確保するためです。
コンクリートというのは、型枠内に生コンを流し込んでから徐々にセメントと水が反応して硬化し強度が増していきます。
打設後翌日には手で触ったくらいではコンクリートが固まったように感じますが、まだまだ本来の強度には到達していません。生コンの強度は27N/mm2とかで呼びますが、これは「4週間経過したときに到達しているであろう強度」のことを言います。
つまり、「4週間経過しないとその強度に到達しない」ということです。
いえいえ、型枠内でじっとそっとしてあげて強度を高める期間はそこまで必要ありません。気温やその他理由により異なりますが、3日〜6日前後の型枠を外さない、何もしない期間(養生期間)が必要です。
打設翌日に型枠を外しさっさと基礎工事を完了させ、1週間後には上棟! なんて工程はもっての外です。
この記事では基礎工事における「何もしない期間」(基礎の養生期間)について解説します。
基礎工事の養生って?
そもそも「養生する」とはどういう意味でしょうか?
建築・引越しなどの作業中に、先に完成した部分など作業の対象物の周辺物を汚損や傷から護ったり、コンクリート施工などで作業対象物が順調に望みの状態になるようにあらかじめ手を打っておくこと。
wikipediaより引用
基礎工事においては、型枠内に生コンを打設した後にそのまま放置することによって、外力からコンクリートを守り、乾燥や低温からも保護することを「養生」と言います。
また、基礎工事では養生期間中の「気温」にも注意が必要です。
外気温が低い時の養生
気温が低い時には、水とセメントの反応が遅くなるため、それなりの対策が必要です。
また、ものすごく寒い時(コンクリートが0マイナス.5度〜マイナス2度以下になる時)にはコンクリートが固まる前に凍結してしまうこともあります。
凍結してしまうと目的のコンクリート強度は出ませんので、コンクリートを低温から守ってあげる必要があります。
こういった場合には、シートや毛布、あるいは断熱材等ですっぽり覆う方法で対応します。
凍結が心配されるような低温の時には、コンクリートから発生する熱だけでは足りませんので、ジェットヒーターなどの機械で温める必要があります。
外気温が高い時の養生
気温が高い夏場は、水ってどんどん蒸発しますよね?
生コンも一緒です。夏季に生コンを打設すると直射日光を受けてどんどん水分が蒸発します。この時に風などがあるとより促進されます。
そうすると、コンクリート表面にひび割れが発生します。これは表面の水分が急激になくなることにより発生します。
よって外気温が高い時に水分が失われるのを防ぐ為には、保護シートで全体を覆い直射日光や風からコンクリートを守る、打設したコンクリートに水をかけたり噴霧したりして水分を与えてあげる方法があります。
立ち上がり打設後の養生する期間はどれくらい?
基礎立ち上がり部分のコンクリートを打設してから、型枠を外さずにそのまま置いておく期間(養生期間)は気温によって決まります。
平均気温が10〜20度未満の時は6日以上、20度以上の場合は4日以上の養生期間が必要です。
ただし、圧縮強度が一定以上まで到達すれば型枠を外しても大丈夫です。その強度は5N/mm2以上と言われていますが、その強度を確認する方法はサンプルピースなどで試験するしかありませんので、一般住宅での養生期間は日数で考えます。
この養生期間を守らないでさっさと型枠を外してしまうと、型枠を外すときの力でコンクリートが欠けてしまったり、ひび割れが発生したりします。
型枠を外した後の養生期間は?
コンクリートというのは硬化していく過程でジワジワと強度が出てきます。
強度が出ていない段階で、基礎の上に土台を設置してさらには柱や梁を組み立てる上棟作業を進めると上部からの荷重がかかりますから、思わぬトラブルにつながりかねません。
よって、型枠を外した後も十分な「何もしない期間(養生期間)」を設ける必要があります。
このグラフをご覧ください。
グラフの横方向は日数で、縦方向は圧縮強度です。
細かい目盛がないため分かりづらいでしょうが、7日後くらいまででぐいっと強度が増しその後は強度曲線は緩くなるものの28日後までにじわじわと圧縮強度が上昇していきます。
28日の期間を開ければ十分ですが、工程進行上28日(4週間)も養生期間を設けられないことはあります。ですが、この期間を28日設けられないとしても最低限14日(2週間)は養生期間を設けた方がいいでしょう。
まとめ
基礎工事中や基礎工事が完了してから上棟するまでの間で、現場が何も進行しない養生期間が必要なことはご理解して頂けたでしょうか?
住宅会社によっては、工程を意識するあまりにとっとと現場を進行させ、家づくりが妙に早い会社もあります。
極端な養生期間は必要ありませんが、ある程度の「何もしない養生期間」も後悔しない家づくりには大切です。
あまりにも進行が早すぎる場合には住宅会社に問い合わせてみてもいいでしょうね。
コメント