建て方という言葉は、「上棟」とか「建前」とかの言葉で言うときもあります。
建て方の言葉の意味は「家の骨組みを組み立てて、屋根の一番高いところの木材(棟木)を設置するまでの作業のこと」を言います。この屋根の一番上の部材である棟木を据えた段階で上棟となります。他にも「棟上げ」とか言ったりもします。
いずれにしろ、この建て方は家づくり工程のひとつの節目であり、あなたの家のシルエットが初めて見える段階でもあります。
最近は近隣への配慮などの理由で平日に行われることが多い建て方作業。
一般の方にとっては自分が仕事である場合が多く、なかなか作業風景を見ることが難しいこともあります。ですが、お客様にとっては自分の家がやっと実物大のサイズで確認できる状態ですので、ぜひ現場へ出向いてその出来栄えを確認してみることをオススメします。
この記事では、そのなかなか見ることができない建て方の光景をご紹介します。現場に行けない方は自分の家に置き換えて見てみてください。
でもね、きっと誰もがこう思うはずです。
早く住みたいなぁ〜。
建て方前日に土台までを設置
前日までに基礎の上に土台を設置します。土台は基礎とアンカーボルトで緊結します。
土台が先か足場が先か、どっちでも構わないですが、建て方前日までに足場も設置します。足場がなければ建て方作業が出来ませんからね。(安全作業のためにも足場は必要です)
建て方当日
木造2階建て程度の建物でも材料を吊り上げるためにレッカー車を使い建て方作業を行います。
1階の柱の上に2階の床梁(胴差しとも言います)をはめ込んでいくのですが、この写真を見てみてください。
1階の土台の上に2階の床梁を配って置いてあります。
こうすることによって、レッカー車で吊り上げる際に少しでも吊り上げ作業が早く行くように準備しておきます。
2階床梁施工
上記の写真の現場では、2階の床梁がマス目状になるように組まれています。このようにマス目状に梁を組み、その梁に直接床合板を打ち付ける方法を「剛床工法」と言います。
後述する壁合板と合わせ、床も骨組みに直接合板を打ち付けることにより家全体を箱のように組み立て、地震に強い剛性をもたせる為にこのような施工方法が用いられます。
床合板を打ち付けた状態を下から見るとこんな感じです。
どうですか? こうすることにより、見るからに地震などの揺れに強そうですよね。
この状態で何やら斜めに打ち付けられた木材がたくさん登場します。こんな状態です。
たくさん斜めの木材がありますが、これは「仮スジカイ」と呼ばれる部材です。省略して「仮スジ」と大工さんは呼びます。この部材は建物を垂直に建てていくために取り付けられる補助部材です。
大工さんは柱に梁をかけたときに柱が垂直になっているか確認します。垂直になった状態で斜めの木材(仮スジ)を打ちつければその垂直具合が狂うことはありません。このようにして家全体を垂直に建てていきます。
小屋組み〜屋根組み
2階の柱も同様に組み立てて、小屋裏の木材と屋根の木材を組み立てます。
屋根の下地
屋根の下地には、垂木と呼ばれる木材を均等間隔に取り付けます。
以前は垂木の固定には「ひねり金物」や「くら金物」といった金物で固定する方法が主流でしたが、最近ではタルキックと呼ばれるビス状の金物が多く採用されています。これはビスを打ち込むように取り付けるだけで垂木ががっしり固定されますから固定作業の省力化につながる便利な金物です。
その垂木の上に野地合板を張り付けます。
建て方完了
野地合板まで打ち付ければ家の形が出来上がり、建て方作業完了です。
ここからが家づくり本番です
ここまでの建て方作業はだいたい一日で完了します。土台しかなかった状態から家の形が分かる状態になるまで一日で組み上げます。
この状態で、お客様によっては上棟式とか投げ餅とかをやったりしますよね。
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まぁ、でもこの状態になると自分の家がリアルに見えてきますから、お客様も「家を建てているんだ!」っていう実感が湧いてくるのではないでしょうか?
でもあなたの家づくりは、まだまだ序盤です。
打ち合わせなどが「第一章」で、基礎工事が「第二章」であるならば、建て方作業は「第三章」くらいに進んだくらいです。ここからが「本番」と言ってもいいかもしれません。
木造住宅の全体工期は短くても3ヶ月、一般的には4ヶ月です。(30坪くらいの住宅の場合)長丁場です。ここからも頑張って家づくりをしていきましょう!
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