先日、「大正ロマン」がテーマの住宅について記事を投稿しました。
このテーマの住宅に似合う建具といえば、古民家で使われていた古建具ではないでしょうか?現代の建具はスッキリしたデザインでとても機能的なものでコレはこれで素敵なものです。しかし昔の日本の建具は、この現代の建具にはないデザインがとても素敵かと思います。
この建具をどうにかして「大正ロマン」がテーマの住宅に当てはめて、いかにお客様に満足してもらえるか? これが私の仕事です。
ということで先日、古民家で使われていた古建具を再利用するために私自らキレイにしてみました。今回はその時のレポート記事です。
キレイにする建具はコレ!
おじいちゃんの家なんかにあった古〜い建具です。いつの時代のものかわかりませんが、ウン十年はたっているでしょう。
このまま使っても雰囲気のあるインテリアを醸し出してくれるでしょうが、凹んだり傷が気になる部分もある為、表面を削ってキレイにしてみたいと思います。
でも、じっくり見てみるとかっこよくないですか?コレ?
また、下半分に障子が入ってますが、実はココの部分は取り外せます。
倹飩(けんどん)という言葉はご存知でしょうか? 建具等をはめ込む仕組みのことですが、現代建築でもこの方式のはめ方は今でもいろいろな場所で使われています。この建具の障子部分も倹飩式で取り外せるようになっています。機能的ですね!
倹飩(けんどん)とは、家具・建築物の構造の一種で、収納部の蓋・扉の開閉手段のひとつ。慳貪とも書く。基本的な構造は「レールにはめこむもの」であり、上から蓋・扉をはめこむもののことを意味する。うどんやそばの出前に使う箱「岡持ち」などが典型例。書院造の地袋の「戸ふすま」も「けんどん」になっていること
wikipediaより引用
こういう仕組みを見ると、昔の人は本当にいろいろと考えるなぁと感心します。
では実際にキレイにしたときの作業を見てください。
使用した道具はコレです
今回は建具表面を「削って」キレイにします。
紙やすりで地道に削るのはとても大変なので、電動サンダーを使用します。
紙やすりを電動サンダーの台座にセットして使用します。この電動サンダーはセットした紙やすり部分が小刻みに動くことにより、対象物を削ることができる道具です。
電動といっても作業は根気がいります
電動だから楽なのでは? って思ってたらしんどいのなんのって。
建具の焦げ茶色部分を削って本来の木目を出すのですが、そうそう簡単にキレイになりません。
建築士と言えども普段は現場で実作業はしません。ですが、作業好きな私にとってはキレイになっていく過程がとても楽しく、この建具がどんな家の風景を作ってくれるんだろうとワクワクしながら作業しました。
(といっても、ぶっちゃけしんどかったけど・・・)
削り作業すること1時間。ようやく片面が削り終えました!
本来の木目が出て「建具が若返った」感じですね。
削る前の焦げ茶色の建具も雰囲気があって良かったのですが、表面を削ることによってこの建具のデザインである細かい格子状のデザインがはっきりし、繊細なデザインがとてもかっこいい!
これは期待が持てます。
続いて反対側の面も作業します
当然ですが、建具ですから表面と裏面があります。
こっちの面は障子がハマる部分がないため、作業はしやすいですね。
で、建具の側面も作業します。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、建具の側面は大手(おおて)と呼びます。建具側面の縦框部の柱や枠にぶつかる面のことをこう呼びます。
作業を続けること約2時間半・・・
やっと終わりました。
格子デザインがかっこいい!
どうですか?細かい格子デザインが「THE 日本」って感じでとても素敵です。
私は、これからこの建具を実現場へ施工する計画をたてます。すでにはめ込む予定の実現場の場所は決まっていますが、いかにこの建具を現代の住宅に活かすか? どのように再利用するか? これが悩みどころですね。
ちなみに、紙やすりを思いの外大量に消費しました。今回は建具1本だけの作業でしたが、これをあと3本・・・
なかなかな作業です。
調子にのってこの建具をかっこよく撮影してみました!
でも、「いいね!」がない・・・・・・
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