しかし、住宅の価格ってものすごく高くなっちゃいましたよね。
2年前のウッドショックが始まる前からすると考えられなかった金額になってしまいました。あれもこれもと、価格が高騰していない部材なんてほとんど無いといっても過言ではないです・・・。
そんな高くなってしまった新築住宅でも、予算の範囲内で自分の希望のスタイルに合わせたい、希望の仕様にしたいと誰もが思っているはずです。
その希望の仕様の中に「自分のお気に入りの外観デザイン」も必ずあるはずです。
この記事では、そんな限られた予算の中で少しでも自分の家の外観デザインを素敵にかっこよくしたい方にアドバイスしたい事、「破風(ハフ)」について解説します。
なんですか?破風って?
と、思う方もいるでしょう。また住宅会社さんも破風(ハフと読みます)なんて細かい部材は打ち合わせすらしない場合もあるかもしれません。
しかし、この破風を、家の外観に合わせて選ぶか選ばないかによって、あなたのお家の外観デザインの完成度を大きく左右するのです。
破風って何?
そもそも「破風」とはどの部分を言っているのか?は、下の画像を御覧ください。
この屋根の端っこの部分を破風(ハフ)と呼びます。そして、そこに取り付けられる仕上材を破風板(ハフイタ)と言います。
切妻屋根、片流れ屋根、どちらの屋根形状でもこの部分は必ず見えます。
そう言われると、その部材って必ず見るよね。
でもそんなところ外観デザインに重要なの?住宅会社さんにお任せでいいのでは?
外壁の色や素材を決めたら、その会社の標準仕様のの中から「破風はこの色でどうでしょうか?」くらいの質問はあるかもしれません。
しかし、素材や大きさまで聞いてくるパターンは少ないはずです。
色だけではなく、素材や大きさであなたの家の外観の雰囲気が大きく変わるのです。
では、画像を見ながらどう変わるのかを解説します。
破風の「大きさ」で変わる家の雰囲
住宅の破風板の大きさ(高さ)は、一般的に18cm〜24cmくらいです。
破風の大きさを小さくすれば屋根周りがシャープに見え、破風が大きいサイズになればどっしり感があるように見えます。
この住宅の破風板のサイズは21cmです。
こちらの建物の破風板は18cmです。
写真ではイマイチ違いが分かりづらいかもしれませんね。でも実際の現物を見れば誰でもその違いに気づくはずです。
そして、その時に感じる外観デザインの印象の違いにもです。
もう少しわかりやすくするためにCADパース図で見てみましょう。
同じ建物で破風板のサイズだけを変えて出力したパース図です。
こうして同じ建物で並べて見ると、同じ外壁材であっても外観デザインの印象の違いに気づいてもらえるかと思います。
この建物はシンプルモダンデザインです。一般的にシンプルモダンデザインテイストだと全体的にスッキリした雰囲気でまとめるものですよね。
ところが、右側の破風板24cmの建物はどことなく野暮ったく見えませんか?なんていうか頭でっかちみたいな感じに見えます。
スッキリシャープに見せたいのなら左側の破風板18cmにするべきです。なんならもっと小さい15cmにしてもいいくらいです。
破風板が小さくなればなるほど、当然ですが屋根が薄っぺらく見えます。
軒の出と相対的な屋根の長さによっても破風板のサイズを考慮すべきですね。
破風の「色」で変わる家の雰囲気
今度は色の違いで感じる変化を見てみましょう。
どうですか?あなたはどちらが好みでしょうか?ちなみに破風板のサイズは同じ大きさで書いています。
ホワイト色は膨張色ですので、右側の建物ほうが破風板が強調されて見えているはずです。存在感があるというか、より印象に残るはずです。
もし、ホワイト色を採用するのであればもっとサイズが小さい破風板でもいいですね。
私なら、この建物にはブラック色の方を採用します。
なぜなら、タテ方向に長いシルエットの建物であり、軒の出がちょっと出ている。そうなると一番上にある屋根(破風)とのバランスでホワイト色にすると建物が貧弱に見えてしまうからですね。
横方向に長いシルエットの建物だとまた考え方は変わってきます。
破風の「素材」で変わる家の雰囲気
破風板に使用される素材には、木製破風板と金属系(板金)破風板、そして窯業系破風板があります。
木製破風板
一昔の日本の住宅では木製の破風が主流でした。
もちろん現代でもナチュラルな雰囲気を出すために木製の破風板を採用する場合も多々あります。
しかしどうしても水に弱く、メンテナンスが必要であるために木製は避ける傾向にあります。
金属製破風板
破風に金属(ガルバリウム鋼板など)を打ち付けてメンテナンスがなるべくかからないようにしたのが金属製破風です。
住宅会社によっては金属板金施工が標準仕様の会社もあります。
金属でくるんでしまえば確かにメンテナンスの頻度は少なくて済みます。でも、どことなくのっぺりとしてしまい、デザイン性に欠けるのも本音、といったところではないでしょうか?
窯業系破風板
ということで、最近の主流はデザイン性とメンテナンス性に優れた窯業系破風板が数多く採用されています。KMEWやニチハなどの外装材メーカーから様々な大きさや色のバリエーションがある商品が販売されていますね。
窯業系とは簡単に言うとセメントを主原料としたもので、外壁材として採用される窯業系サイディングと同じ製法で作られた材料となります。
金属製では面倒なちょっとした凸凹したデザインがあるのが一般的です。また最近の商品では雨で汚れを流してくれる(限度はありますが)機能がある破風板もありますので、雨染みなど気になる汚れも以前ほどは気にしなくてもいいのも特徴です。
また窯業系破風板材だけれども、木製のナチュラルな雰囲気を出したい場合に採用される木目柄の窯業系破風板もあります。
木製の破風板がもつナチュナルな感じはとてもいいものです。
メンテナンスに優れた金属製破風板ですとどうしても表情がつまらないものになってしまいがちです。またジョイント部の重ね処理も必ず出てきてしまったり、素材自体が薄いこともあり表面の波打ちが気になったり、そういった部分がすっきり感を損ねてしまったりします。
これらのいいとこ取りをした窯業系破風板材であれば、自分の好みに合わせたサイズと色・柄を選ぶことができますので、素材に悩んだら窯業系の商品から選択することをおすすめします。
窯業系破風板材にも必ずジョイント部(継ぎ目)があります。そのジョイント部はコーキング施工して納めるのですが、KMEWやニチハから発売されている高耐候性シーリング材を採用することをオススメします。メンテナンス費がより軽減されますよ。
まとめ
いかがだったでしょうか?
あまり気にしていなかった破風にもいろいろな選択肢があることがわかっていただけたかと思います。
また、その目立たない部材であっても家の雰囲気に合わせて選択することで、ちょっとの事かもしれませんがイメージが変わることもわかっていただけたでしょうか?
当然ですが、屋根材の種類によっても破風板の大きさや素材選びも変わってきます。
瓦屋根なのにスッキリとした小さい破風だと弱々しく見え、逆にガルバリウム屋根などの凹凸の少ない屋根材であればスッキリとしたほうがきれいに見える、そんな感じですね。
この記事では破風にもいろいろな選択肢があることを書きてきましたが、実際には建築を依頼する住宅会社の仕様によってしまう事が実情です。
なぜなら、破風板の素材の違いにより、またサイズによって納まり(下地の造り方など)が異なるからです。
設計事務所などに依頼した場合は、物件ごとに適した素材や大きさをプロがチョイスし提案してもらえます。
しかし、施工の効率化も考えなければならない住宅会社では、お客様もその会社の仕様に則って素材を選択しなければなりません。その場合でも、お気に入りの外壁材と屋根材を選択したのだけれども、トータルの外観デザインがしっくりせず破風板が気になるのであれば、試しに聞いてみてもいいかもしれませんね。
もしかしたら、施工の許せる範囲で変更が可能かもしれませんから。
今回の記事は「破風」という細かい部材について書いてみました。ぜひ細かい部材までこだわって、あなたの家の外観デザインをトータルで完成度が高いものにしてみてください。