採光の為や、プライバシーの確保の為に2階にリビングを計画される方もいらっしゃるかと思います。
実は、私の家も2階にリビングがある間取りなのですが、私が2階にリビングを配置した理由は「プライバシーの確保」と「眺望」の為です。
1階のリビングに比べ、前面道路からの視線や隣家からの視線はまったく気になりません。おおむね2階リビングに満足しているのですが、2階であるがゆえの苦労も多々あります。
今回の記事では2階リビングの間取りで、建築士である私が実際に生活してみての「メリットとデメリット」をご紹介します。
2階リビングを計画されている方のお役に立つことができたら幸いです。
2階リビングのメリット
プライバシーの確保がしやすい
一般的な立地(お隣の家と何十メートルも離れているとかでない)では、前面道路を通る車や道路を散歩している人、あるいはお隣さんからの視線というのは気になるものです。
リビングの南側に大きな窓を設置しても、結局レースのカーテンを閉めっぱなしでは悲しいものがあります。
これが2階にあるリビングであれば、前面道路を通行する車や歩行者からの視線は気にする必要はなくなります。カーテンなんて開けっ放しでも遠く離れたところからの視線ぐらいしか気にしなくてすみます
また、隣家が密集しているような立地条件では「お隣さんの2階洋室の窓がリビングの真正面にある」なんてことがないように間取りを工夫すれば、お隣からの視線も気にしなくてすみます。
眺望を楽しめる
1階と2階では地面からの高さは約3メートル変わります。これだけ高さが変わるだけでも、窓から見える景色はかなり違うものになります。
周りにステキな公園がある、遠くに海が見える、山脈が見える、など1階では見えない景色も、2階からでは見える事も多いです。
住宅街では難しいかも知れませんが、家と家の間のちょっとした隙間から向こう側の景色が望めるっていうこともあるかもしれませんよ。
風が通りやすい
高いところであれば、風は通りやすいものです。2階リビングの前にバルコニーなどを配置すれば、より風が取り込みやすくなります。
春や秋などのエアコンなどが要らない季節では、自然の風が気持ちいいです。
家族間の騒音が気になりにくい
1階リビングの上に子供部屋が2階にあると、お父さんがリビングでテレビを見ている時に「2階で子供がドタドタっ!!!」
え~い!うるさい!!
子供が元気なのはいいことですが、やっぱり気になるものです。
これが逆のパターン、2階にリビングでその真下に子供部屋では、子供がやんちゃな動きをしても2階のリビングでは気になりません。よって子供を思いっきり遊ばせることができます。
浴室と寝室が近いのはグッド!
私は就寝2時間前くらいに入浴します。そして寝室で読書や音楽鑑賞しながら就寝しますが、夜の大敵である、ビールやお菓子などの誘惑が近くにないため、健康に繋がります。
1階にLDKがある間取りだと、入浴後にリビングでビールをプシュっ!ってやりませんか? 2階リビングではこれを減らすことが出来るかも知れません。だって2階に行くのがめんどくさいですから。
冬は暖かくて暖房要らず
真冬の寒いときでも、2階リビングであれば暖房がいらないときがあります。
2階リビングであれば、日中太陽があたっていれば結構温かいです。1階の寝室ではファンヒーターがほしい季節でも、2階リビングでは暖房が必要のない日が結構あります。
2階リビングのデメリット
荷物のある時の階段は辛い・・・
たくさんの買い物をしてきた時に、両手で荷物を持って階段をのぼるのは本当にしんどい。女性ならなおさらです。ビール箱やペットボトルのまとめ買いのときなどは、誰が2階へ持っていくかで喧嘩になります。
まぁ、軽いトレーニングだと思えばいいのですが・・・
キッチンから洗濯機置場までが遠い・・・
だいたいの家では、1階にキッチンと洗濯機置場や浴室があるでしょう。しかし2階リビングの間取りでは、おそらく洗濯機と浴室は1階にあることが多いはず。そうすると、家事動線とういうものが確保できません。動線上に階段があるのです。これはツライ。
これも、洗濯とキッチン作業を同時にやらない、と割り切ればいいのですが・・・
宅急便の対応がめんどくさい!
インターホン越しに対応できる来客であればいいのですが、宅急便などでは玄関まで行かなければなりません。階段をトコトコ降りて。
宅配ボックスを設置して、インターホン越しにボックスに入れてください!ってお願いすればいいのですが、なんか申し訳ないような・・・
2階は暑い!
断熱材を十分に施工しても、やっぱり屋根直下の2階と1階では多少室温が変わります。
特に最近は猛暑日が多いこともあり、2階のリビングは温室と化します。窓を開けて外出すれば多少いいですが、閉め切った2階のリビングの日中はエアコン必須です。いくら風通りが良くても限界があります。
大型家電の搬入には注意!
冷蔵庫や65インチ以上のテレビでは、階段を通って2階のリビングまで容易に搬入できるか確認しておくことをおすすめします。
テレビは80インチとかのバカでかいテレビでなければ、だいたい大丈夫でしょうが、冷蔵庫などの重量物となると搬入ルートを確認しておかないと、専門業者でも持っていけませんってことになりかねません。
階段がストレートなものであれば大丈夫でしょうけど、途中に曲がるような階段では結構難しい場合があります。結構手摺が邪魔だったり・・・最悪、階段から搬入できないとなるとレッカー作業で冷蔵庫を吊り上げる!なんてことになるかもしれませんよ。
逆に寝室のプライバシーが・・・
プライバシーの確保の目的で2階にリビングを持っていくと、当然1階にある部屋のプライバシーは気にしなければなりません。寝室で着替えていたら、窓の向こうに誰かいた!なんてことがあるかもしれません。
洗濯物をどこに干す?
まさか、2階のリビングに面したバルコニーに洗濯物を干したくはありません。よって室内干しか屋外に干すしかありません。洗濯物をどこに干すか? ちゃんと考えておいたほうがいいですよ。
ゴミ出し日は運動の日になります
1階から2階に荷物を上げるのが大変ということは、2階から1階に下ろす荷物も大変ということになります。この作業で毎週あるイベントがゴミ出し日です。
2階のキッチンの横にサービスバルコニーを作ったのはいいのですが、2階に置いたゴミを1階まで下ろすのがなかなかめんどくさい。特に生ゴミなんかだと水がポタポタしないように厳重にくるんで、って感じで、ゴミ出し日は朝から運動の日になります。
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