最近の九州地方など豪雨により被害に合われた方は、本当に辛い思いをされていると思います。ボランティア等でお手伝いに行ければいいのですが、コロナウイルスの影響もあり他県に移動するのは自粛するべきかと判断し、ただただこれ以上被害が増えないよう祈るのみです。
本格的な梅雨に入った6月下旬以降、雨の日が連続しております。
そんな中、とあるオーナーさんから賃貸物件の雨漏り調査を依頼されました。
特に雨漏りはしていないけど、築20年以上の建物だから表面に見えない部分で問題が起きていないか、調査してみてくださいというご依頼です。
いつものように私は赤外線サーモグラフィカメラを持って出掛け、お施主様と一緒に調査を開始しました。
そこで事件は起きました。
赤外線サーモグラフィカメラとは
赤外線サーモグラフィカメラとは、赤外線カメラで見ることにより物体の温度を測定するものです。
最近ですと、コロナウイルスの検疫で空港などで高熱の人がいないか見てますよね。あのカメラです。
コレがなんで建物調査に有効なのかというのをご説明をします。
まずは雨漏り調査。
雨、つまり水があるとその部分の温度は下がります。
今の時期ですと、ある程度気温は高いため、雨が伝わっている部分は周囲より低い温度で表示され、それで雨漏りがあるのかないか、その発生場所はおおよそこのあたりだというのが判断できるわけです。
次に壁の中の調査。
その壁を構成している部材によって温度の伝わり方は違いますから、そのわずかな温度差で壁の中も覗けてしまいます。
例えばこの画像御覧ください。
普通な部屋の写真ですが、これを赤外線サーモグラフィカメラで見るとこう見えます。
はっきりと、柱と間柱が見えます。
柱などの木材と、その間にある断熱材とで温度の伝わり方が異なるからこう見えるのです。
またこんな物も見えます。
はっきりとスジカイ(斜めの木材)も確認することができます。
とまぁ、こんな感じで工夫次第で色々な建築調査用途に使用できるのが赤外線サーモグラフィカメラです。
事件発生!
今回ご依頼いただいた調査でもこのカメラを持って調査し、お客様も興味津々で一緒に見てくださいました。
で、問題の壁はこれです。
普通に何の問題もない壁に見えます。
確かに壁紙クロスも剥がれていなければ、当然雨漏りの痕跡すらない特に問題のない壁のはずでした・・・
が、赤外線サーモグラフィカメラで見たところ、
この画像見てもらうとはっきりと分かると思いますが、画面右側と左側ではっきりと色が違います。
なぜこうなるのか?
断熱材が入っていない壁だから温度が高く表示されている(黄色)のです。
今はある程度気温の高い時期です。断熱材がない壁は、高い外気温がそのまま室内の石膏ボードまで伝わっている為、断熱材である程度の温度をシャットダウンしている左側の壁よりも温度が高く表示されているのです。
おそらくこの建物の新築時に、職人さんが入れ忘れたか、あるいは材料が足りなくてそのまま壁を塞いでしまったか、そんな理由でしょうか。
いずれにしろ断熱材が入っていないというのは大問題です。
ドヒャー!!!
カメラを持っている私は、隣にお施主様、その反対側には建物のオーナーに挟まれ、冷や汗だらだら。
聞かれたらどう答えよう?建築士、調査員として正直に答えるべきでしょうが、オーナーの視線を気にし、正直に言って大丈夫だろうか?という気持ちの葛藤・・・
あれ?これなんで左右の色が違うの?
案の定、お客様に質問されました。
その後、どうなったかはご想像におまかせします。(この記事を書いているということは・・・?)
まとめ
昔は赤外線サーモグラフィカメラなんて高額すぎてとても買えないものでした。
しかし最近はスマホに接続できる、比較的お手頃な物も登場しています。
一般の方がこれを使ってどうのこうのっていうのはあまりないでしょうが、ご興味のある方はこちらをどうぞ。
コメント
コメント一覧 (1件)
初めまして。
こちらので記事で使用した赤外線サーモグラフィはどの商品なのでしょうか?